10代は動画投稿サイトが大好き!! 年齢階層別に見た「従来四大メディア」と新情報メディアのせめぎ合い

2008年03月26日 06:30

動画投稿サイト利用イメージ先に【従来四大メディアとポータルサイトの利用度大幅に低下・動画投稿サイトが大きな勢力に】で紹介した、ヤフーバリューインサイトの、情報メディアに関する自主調査結果。全般的には「従来四大メディアの権威が落ち」「ネット系メディア、中でもQ&Aサイトなど新しい仕組みを持つサービスの人気が高まっている」という結果が出ている。一方で年齢階層別にデータをながめると、それぞれの年齢で微妙に違った結果が出ているのが分かる。今回はその点にスポットライトをあててみることにする(【発表ページ】)。

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今調査は2007年12月7日から10日までの間にネット経由で行なわれたもので、有効回答数は1000。男女比率は非公開。年齢階層比は10歳刻み(10代は15~19歳)で均等割付。なお「前回調査」は2006年11月15日~17日にかけて行なわれている。また、ネット経由での調査のため、世間一般の傾向と比べてややネット関係のデータが有利になる傾向を前提にデータを見る必要がある。

また、少々分かりにくいので図の読み方についてあらかじめ解説すると、

・各円はそれぞれのメディアを表し、円の大きさは「今後の利用意向」を表現する。大きい円ほど「今後たくさん使われる」可能性が高い。
・縦軸は利用度合、横軸は信用度合を示す。円の中心部分が縦横軸のクロスした、つまりそのメディアの利用及び信用度の位置。
・円の上下関係(重なっている部分)は何の関係も無い。


あたりを念頭におけば問題は無い。


10代……従来型四大メディアの権威健在・動画共有サービス最強伝説

10代における情報メディアのポジション
10代における情報メディアのポジション

従来四大メディアのうちラジオ以外の今後の利用意向や利用度が高め。各メディアに積極的な姿勢で情報を収集しようという様子がうかがえる。特に「テレビ」の利用度が高く、「テレビっ子」なる使い古された言い回しがいまだ健在であることが分かる。

一方、各種インターネット系サービスも積極的に利用されているが、中でもYoutubeなどに代表される「動画共有サービス」のポジションが高いのが特徴的。利用度はすでに「検索エンジン」「ポータルサイト」と同程度にのぼっており、10代は「ヤフーやグーグルを使うかのごとく動画共有サービスを楽しむ」傾向にあることが分かる。情報収集に意欲的な10代にとって、インパクトのある動画を提供し、口コミで情報を共有化できる「動議共有サービス」はまさに「情報の宝石箱」なのだろう。

さらに「動画共有サービス」は今後の利用意向が高いのも注目に値する。現在10代の人たちが成長しても「個人ブログ」や「SNS」同様に、この傾向はある程度引き継がれるに違いない。

20代……ポータルサイトや検索エンジンを大活用・従来四大メディアは将来性低し

20代における情報メディアのポジション
20代における情報メディアのポジション

10代と比べると「動画共有サービス」の各パラメータが落ちているのが一目瞭然で分かる。また、従来型メディアも利用度や信頼度はさほど変わらないものの、10代と比べて今後の利用意向は極めて低い(円の大きさが小さい)。その代わり、「ポータルサイト」や「検索エンジン」「Q&Aサイト」の利用頻度、今後の利用意向が巨大化しているのが分かる。

これは推測だが、仕事や学業でインターネットを情報ツールとして使うような立場になったからだと思われる。検索をしたり新しい情報を入手したり、分からないことをコミュニティで問い合わせるなど、必要にかられてこれらのサービスを使うにいたり、利用度・信用性、そして今後の利用意向が増加したのだろう。

これは主に趣味娯楽の利用傾向が強い「動画共有サービス」のポジションが低下していることでも裏づけできよう。逆に考えれば、情報ツール(主に提供される側だが)として動画共有サービスを利用できる仕組みをつくれば、20代以降にも大いにアピールできるチャンスがある。だがこれはまた別の話。

30代……従来四大メディアの権威は「現在では」健在・仕事ツールのネットサービスに傾注

30代における情報メディアのポジション
30代における情報メディアのポジション

従来四大メディア、中でも「テレビ」「新聞」というお馴染みの媒体の利用度や信用度が高いのが特徴。ただしのこの年齢層でも将来の利用意向は低い。一方で「ポータルサイト」や「検索エンジン」「Q&Aサイト」などの、仕事で情報収集ツールとして使いやすいインターネットサービスの利用度・信用度は他の年齢と比べて低いものの、将来利用意向はきわめて高い。一言で表現すると「おっかなびっくりで使っているが、『これはいける』という実感を得ており、将来はもっと使いこなそう」と考えているというところだろう。

他方、若年層では利用度や将来利用意向の高かった「動画共有サービス」「SNS」などはそのポジションを確実に下げている。仕事や学業でインターネットを使う時間・機会が増え、娯楽で使う余裕がなくなってきているのかもしれない。

40代……テレビや新聞の権威強し・ツールとしてのポータル以外にQ&Aや特定カテゴリ掲示板も人気

40代における情報メディアのポジション
40代における情報メディアのポジション

この年齢層になると「テレビ」や「新聞」の権威が失われていないことがはっきりしている。また、将来の利用意向も高めなのが特徴。それと同時に「ポータルサイト」「検索エンジン」「Q&Aサイト」も利用度や信用度は従来メディアと比べればやや低目ではあるものの、それなりの地位を確保。さらに将来の利用意向度では従来メディアをはるかにしのぐ数字を出している。

また、「動画共有サービス」「SNS」のポジションはますます低下する一方、「特定カテゴリ掲示板」が伸びているのが注目に値する。自分の仕事以外に趣味趣向など特定分野において、気軽に情報収集ができるという観点では「Q&Aサイト」とさほど変わらない。「SNS」や「ブログ」などよりさらにハードルの低い掲示板の仕組みを使った「特定カテゴリ掲示板」に人気が集まるのも理解できよう(「難しい仕組みはきらいだが、自分の好きな濃い情報は欲しい」というこの世代のニーズを反映しているのだろうか)。

50代……新聞万歳・ネット系メディアの躍進も

50代における情報メディアのポジション
50代における情報メディアのポジション

従来四大メディアの中でも「テレビ」「新聞」が圧倒的に利用度・信用度の上で勝っているのは40代と同じだが、中でも「新聞」の権威が高いのが特徴。50代にとっては「テレビ」ですらどちらかといえばちゃらちゃしていて忌避するメディアなのかもしれない。また将来の利用意向でも「テレビ」より「新聞」が高くなっている。

他方インターネットサービスのうち年齢が高まるにつれて注目度が増している「ポータルサイト」「検索エンジン」「Q&Aサイト」などだが、利用度・信用度共に40代までと比べれば低下している。特に純粋なツールとして提供されている「検索エンジン」の利用頻度などが高い一方、色々な情報がすし詰めの「ポータルサイト」「Q&Aサイト」はやや利用・信用度共に40代と比べて低めの位置にあるのが分かる。シンプルイズベスト、というところだろう。

しかし50代ですら、ツールとしての意味合いが強い「ポータルサイト」「検索エンジン」「Q&Aサイト」の将来利用意向は極めて高いことに変わりはない。


以上、10代から50代それぞれについて情報メディアのポジションの実情と傾向について見て見たわけだが、全体的な年齢ごとの特徴をまとめると次のようになる。

・「動画共有サービス」「SNS」などエンタメ系の強い新興ネットサービスは若年層ほど受けが良い
・20代以降はインターネットを仕事などのツールとして用いる機会が増えるため、「ポータルサイト」「検索エンジン」「Q&Aサイト」が一定の存在感をしめる
・高齢層になると「簡単な仕組み」のネットサービスが好まれる
・情報収集に積極的な10代は別として、若年層ほど従来四大メディアを避ける傾向が強くなる
・どの年齢層でも多少の違いはあるが、情報メディアとしては従来四大メディアより「ポータルサイト」「検索エンジン」「Q&Aサイト」などのネットサービスを今後は多用したいと思っている


今現在10代をとりこにしている「動画共有サービス」において、彼ら・彼女らが20代になった時にやはり離れる傾向にあるのか、それとも引き続き傾注の度合が高いままなのか、現状では分からない。ただし現在の20代が見せる傾向の理由(仕事などでネットを使う機会が増えた≒遊びで使う機会が減った)を考えると、やはり似たような経緯をたどるものと思われる。

テレビと新聞イメージまた、先の記事と似たような結論になるが、どの年齢層でも将来の利用意向において「ネットサービス>>従来四大メディア」という結果が出ているのは注目に値する。今調査はネット経由によるものだから、ネットサービスにややひいき目となるのは仕方ないかもしれない。しかし今調査結果はそれを考慮しても、メディアへの注目の現状と将来を推定するデータとして注目すべきものといえるだろう。

ちなみにやや余談となるが、男女別で見た場合、女性の方が男性よりも「テレビ」「新聞」への将来利用意向度が高く、ネットメディアでは「男性:検索エンジン」「女性:SNS」が好まれるという傾向がある。従来型メディアは女性向け展開をすると、将来に向けた展望が開けるかもしれない。


■関連記事:
【インターネット広告の影響力の拡大を図式化してみる】

(最終更新:2013/08/09)

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