「アポロ&ポセイドン構想2025」シンポジウム・まとめなど……その1

2008年03月16日 19:30

バイオエタノール・アポロ&ポセイドン構想2025イメージ先に【「アポロ&ポセイドン構想2025」シンポジウムで新たに分かったこと】で第一報をお伝えした、3月12日に三菱総合研究所内で開催された「アポロ&ポセイドン構想2025(Apollo & Poseidon Initiative 2025)」に関するシンポジウム。「現在のところ」手元にあるのは同会で配布された紙資料と数枚の会場写真のみなのだが、今回から何回かに分けて資料と記憶をたよりに、発表された事柄などをまとめていくことにしたい。

スポンサードリンク

講演内容一覧

シンポジウムでは「アポロ&ポセイドン構想2025」に直接・間接的に関わる専門家らが出席し、それぞれ独自の、専門的な分野からのアプローチによる講演が行なわれた。まずはプログラムをリストアップしてみる。

・「最近のちきゅう南極海環境生態系変動の動向」
 ……(独)水産総合研究センター 遠洋水産研究所 研究室長 永延幹男氏
 南極の観測データから地球環境の変化(温暖化)と水産資源の問題点への警鐘

・地球シミュレータの産業利用-グローバル~ナノ-
 ……(独)海洋研究開発機構 産業利用推進グループリーダー 新宮哲氏
 プロジェクトでは海流計算などに用いられた「地球シミュレーター」の全容と産業利用について

・ホンダワラ科海藻の増養殖技術の開発
 ……京都府立海洋センター 海洋生物部 主任研究員 竹野功璽氏
 豊かな生態系の創造と食用としてのホンダワラの可能性、養殖技術の研究

・海藻のバイオ燃料転換技術の研究開発
 ……三菱総合研究所 参与 香取義重氏
 「アポロ&ポセイドン構想2025」の詳細と現状、アプローチ手法

・海洋生態系と海洋炭素循環
 ……JAMSTEC 地球環境フロンティア研究センター 主任研究員 宮澤泰正氏
 日本近海、特に日本海における海流の動向や生態系、海藻を育てる際に必要不可欠となる栄養分の分布について


直接「アポロ&ポセイドン構想2025」に関する説明は「海藻のバイオ燃料転換技術の研究開発」で、他の講演ではそれを裏付ける、あるいは補完するデータや研究成果の提示が行なわれた。

概要まとめその1……南極の動向と地球シミュレーターについて

それでは順を追って概要の説明を。ただし前述したように資料は限られているのと、「アポロ&ポセイドン構想2025」にあまり絡んでいない部分も多く語られている場合があるので、ここでは極力関係する事項のみをピックアップしてみる。本当に「箇条書き的な概要」になってしまうが、ご了承願いたい。

1.「最近のちきゅう南極海環境生態系変動の動向」

【IPCC(気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change))】で提示されているさまざまなレポートを元に永延幹男氏の体験も交え、特に北南極における観測データから、地球の温暖化が進んでいることを説明。

手元の資料には掲載されていなかったが、同様の事象を示すデータとしてIPCCの2007年レポートに掲載されていた図版を一つ。1970年と2004年の気温の変化を示したもの。丸印は観測地点の数。
手元の資料には掲載されていなかったが、同様の事象を示すデータとしてIPCCの2007年レポートに掲載されていた図版を一つ。1970年と2004年の気温の変化を示したもの。丸印は観測地点の数。

また、気温だけでなく海水温も上昇を続け、これが北極海の海氷域の縮小や南極大陸の氷部分の溶解につながっているらしいこと、そして両極に大量に存在している海産資源にも影響を与えかねないことを語った。特に南極に住む「ナンキョクオキアミ」は将来有望な食用資源として注目されるべき存在らしい。

そして直接的な表現は避けていたが、自らが研究対象としている南北極、特に南極における大きな変化は地球の環境が大きく変わりつつある(しかも悪化のベクトルへと向かっている)ことを示しているとし、「もう間に合わないかもしれないが、打てる手は打つべきである」ことを訴えていた。

2.地球シミュレータの産業利用-グローバル~ナノ-

【JAMSTEC((独)海洋研究開発機構)】にて設置運用されているスーパーコンピューター「地球シミュレータ」について。従来は学術部門などでの共同利用が前提だったが、現在では有料で企業による利用も可能となっている。

地球シミュレータ「本体」のふかん図
地球シミュレータ「本体」のふかん図

当方は大型コンピュータの専門家ではなく理解しがたいところが多く、よって第三者に伝えるだけの理解を得ることが出来なかったのでここでは解説しない。詳細は上記リンクなどから実際に運用している部局の説明に目を通してほしい。イメージ的には脳内のシナプス連結による計算の高速化をコンピュータで行なっているようなものだろうか。

ともあれ、ぼう大な計算を高速で行なう「地球シミュレータ」が、「アポロ&ポセイドン構想2025」の計画でも使われているということは把握できた。


やや尻切れトンボな形で終わった今回のまとめだが、雰囲気の一部は伝えられたと思う。次回はいよいよ気になる「ホンダワラ科海藻」などについて触れられればと考えている。

ところで先の記事で「マスコミ露出が少ないが……」の項目で情報露出が少ないことや前回のプロジェクトのようにネット上で情報を公開すべきではないかという意見、さらに以前の記事(【2025年には日本が資源大国に!? 三菱総研「アポロ&ポセイドン構想2025」提示】)を掲載して以降、ネット上で色々な意見が交わされていることなどを「記事掲載」という形などで伝えたところ、非常に興味深い動きをさる筋からの問い合わせで得ることができた。

今の時点では具体的に何がどうしたのかについてはお伝えできないが、場合によっては「アポロ&ポセイドン構想2025」に関心を持つ人にとって、とても興味深く、良い方向に話が進むかもしれない。公開できる続報があり次第、逐次お伝えする予定なので心待ちにして欲しい。……続報が無ければ「何もなかった」ということで(笑)。

また、以前の記事掲載以降、他所で意見交換などが行なわれていたのが少々歯がゆいこともあるので、ここで試験的に「アポロ&ポセイドン構想2025」に関する掲示板を設置してみることにする。反響が大きかったり上記の「続報」次第では、色々なものをひっくるめて当サイトサイドバーに設置してある「特選記事」扱いにすることも考えている。

それでは次回の「その2」まで。


(最終更新:2013/08/10)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ