【更新】建築不況好転のきっかけとなるか・改正建築基準法に対応した「大臣認定構造計算プログラム」第一号完成

2008年02月23日 08:00

建築中のビルイメージ[日経新聞]などが伝えるところによると【国土交通省】は2月22日、【NTTデータ(9613)】が開発した「改正建築基準法に対応する構造計算プログラム」(「大臣認定構造計算プログラム」「構造計算ソフト」)について、初の大臣認定を与えたと発表した。2月23日現在国土交通省の公式サイトでは発表リリースは掲載されていない。

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「大臣認定構造計算プログラム」の完成で期待される住宅建設促進

昨年6月に施行された改正建築基準法については、改正後の法律に対応した建築内容を確認できるプログラム「大臣認定構造計算プログラム」が、法律施行時に完成しておらず、設計・建築現場を大いに混乱させる主要因となった。タイムスケジュールの調整を誤った国土交通省側に大きな責任があるといえるが、問題を指摘されてからも国土交通省側の対応が遅々として進まず、結果として法律施行以降の建築許可・建造数は激減。「日本版官製サブプライムローン問題」とまで呼ばれるほどの、建築業界とその周辺業界の不況を引き起こしている。

今回完成した「大臣認定構造計算プログラム」はNTTデータ提供の2種類のプログラム。これを用いれば、建築確認の審査期間を大幅に短縮でき、さらに建築確認審査の一部も省略できる。現在70日かかる可能性のある審査期間を35日に短縮できるという。従来なら複数会社提供のプログラムを市場に提供し、利用者に合ったものを使ってもらうと共に競争原理を働かせるべきなのだが、「早急に使えるものを市場に流さねばならない」という事情から【関係者一堂でデバッグと前倒し講習開始・構造計算ソフトの開発体制強化へ】にもあるように、国土交通省内や関連他社などからも増員を行い、仮認定や現場でのチェックもさせるなど別格の計らいをもって早期開発を促進していた。これにより当初4月完成予定だったのが今回の報道にあるように一か月以上前倒しの、2月22日に認定を受けることができるようになった。

今後今回完成したプログラムや、追って他社が発売するプログラムが普及することで、建築着工の回復、そして関連業界への波及も期待されている。

突貫工事的作業の功罪

しかし今回の「突貫工事」には業界内外、特に他のソフト会社や建設会社からは「(事情は理解できなくもないが)公平性を欠く」と反発の声が広まっている。特定一社にのみ特権を与え、さらに開発促進チーム(協議会)の運用費用3000万円ほどは、国費から支出したという([読売新聞・報])。

自らの不手際による構造不況の失点を取り戻すと共に、自己責任の問題を回避するために行なった今回の国土交通省の行為が、さらなる業界内における不信感と国土交通省への信用失墜を招く可能性も否定できない。

官公庁で働いている公務員の大部分は高度な試験をクリアし、その後もさまざまな知識を吸収している。それらを有効に活用して適切な判断を下し、少なくとも「給料分の仕事はしている」と、雇い主である国民から思われるような施政をしてほしいものである。


■関連記事:
【改正建築基準法最大の問題点!? 大臣認定ソフトが未だに完成していない現実】

(最終更新:2013/08/11)

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