天気予報で病気予報!? 医学気象予報情報が愛知県向けからスタート

2008年02月06日 06:30

医学気象予報イメージ先に【花粉症に備えて・お役立ち花粉症情報提供サイトたち】のような花粉症対策情報サイトでは、通常の天候に関する予報以外に花粉の広がり具合の予報、さらには花粉症を発症している人たちにとってどれくらい辛い思いをせざるを得ないかなどを配信している。それをさらに押し進め、気象状況から発症する可能性が高い病気を特定し、予防情報として提供していく医学気象予報なるものを中部大学や日本気象協会などが本日2月6日から配信していく。当初は愛知県のみで、項目も「風邪」と「気管支ぜんそく」のみだが、今後は予報地域を拡大するだけでなく分割してピンポイント化すると共に、脳こうそくなどの疾患にも対象を広げていくという(【参照:中日新聞】)。

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サイトの正式名称は「医学気象予報の有効性に関する実証実験およびニーズ調査」。【用語解説のページ】によれば、「医学気象予報」とは、気象と病気の関連研究に基づく、発症の予防や治療支援を目的とした天気予報で、1950年代にはドイツで病院・医師向けに始まった技術。海外では熱帯感染症などの対策として、WHOの呼びかけのもと、多くの地域で予報が提供されている。しかし日本では「花粉情報」「熱中症情報」などの単独疾患に対する医学気象情報は展開されているものの、総合的な医学気象予報(気象情報に基づいた病気の早期警報システム)はまだ構築されていない。

さらに今後の高齢化社会や温暖化社会における病気の予防対策としてますます「医学気象情報」は重要になると予想され、今後の発展が期待されている。そこで今回、中部大学や日本気象協会などによる、愛知県を対象にした実証実験が開始されることになった。

「医学気象予報」
「医学気象予報」

実験の中で消費者・利用者のニーズを把握、分析しながら、単に一方的な情報を垂れ流すのでは無く、多くの人に役立つ情報の提供を模索していくという

詳細なデータは元記事にあるが、1995年から2004年の10年間に名古屋市内で救急搬送された計約50万件のデータと当日の気象状況を解析。気象庁の提示する翌日分の気象予報からデータを取り込み、発症しやすい疾患を特定すると共に、発症の可能性を「大」「中」「小」で判別するという。過去10年間のデータと照らし合わせた場合、「風邪」ならば的中率は90%を超えるとのこと。

スタート時には「風邪」「ぜんそく」のみだが、データ上では脳こうそくや心筋梗塞など40ほどの疾患で気象条件との関係が確認されている。今後状況を見ながら対象の疾患種類を増やしていくのだろう。

指摘されてみれば確かに、気候の変化とさまざまな疾患には関連性の高いものが多い。花粉症や熱中症などはいうまでもないが、ぜん息や風邪、脳こうそくなども(過去データとの分析を行なえば)相関関係を見出すことができるはず。そのような考えは誰もが持つことはあっても、それを過去データから実際に検証し、それをシステム化して今後の予報データに役立てるのはさすがというところ。統計学的に非常に興味深く、そして有意義なものといえよう。

各地域毎のデータを積み上げて予報化するには、ぼう大なマンパワーと時間が必要となるかもしれない(コンピューターを使えばそれほどでもないか?)。一度データ化・公式化してしまえば、あとはメンテナンス程度で作業の手間もさほどかからないだろう。多くの疾患に関する予報をそろえた上で、ポータルサイトのように年齢などの個人データを元にした「注意すべき疾患」がピックアップされてそれらに関する注意予報が表示されたり、必要と思われるものを足せるなどのカスタマイズ機能があれば、極めて有意義な「医学気象予報」となるに違いない。

今後の展開、特に他地域情報の配信を待ち望みたい。また、携帯電話向けサービスにも期待したいところである。


(最終更新:2013/08/13)

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