【更新】春先からの粉モノ食品大幅再値上げ必至! 輸入小麦の価格引き上げへ

2008年02月02日 12:30

麦イメージ先に【小麦の政府売り渡し価格、約30%値上げか・日経報じる】で報じたように小麦価格の急騰が続いている関係で、4月に変更される輸入小麦の政府売り渡し価格が大幅に上昇する可能性が高くなった。4月の価格を決める2007年6月から2008年1月までにおいて、価格の高値安定が続いていたからだ。単純に連動させれば40%近い引き上げとなるが、影響の大きさから30%前後に「落ち着く」見込み([関連記事:毎日新聞])。

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【パンやうどんなどの値上げも?~輸入小麦の政府卸売価格、10月から10%引き上げ】で詳しく説明しているが、輸入麦の大部分は食品の安定的な国内供給を確保するため、政府が商社を経由して輸入し、その上で(国内の小麦農家への補助金にあてる費用を一定額上乗せしてから)企業に売り渡すという、農協におけるお米の売買と似たような仕組みを採用している。【輸入麦の価格ルール変更でパンやうどん、焼酎などの値段に影響か】にもあるように、これまで年間固定制だった売り渡し価格は2007年から年3回(当面は年2回)の変動が行なわれる。2007年4月の値上げは1.3%で済んだが、2007年10月にはこのルールに従い10%という大幅な引き上げが行なわれ、これがきっかけで小麦を使う各種食品が続々と値上げすることになった。

しかし最近ではさらに小麦価格は上昇。最近では政府の売り渡し価格を輸入価格が上回り、「補助金を上乗せ」するどころか輸入価格より安い価格で業者に卸すという「逆ザヤ」状態におちいっている。

今度の4月に改正される小麦の売り渡し価格は2007年6月から今年1月の価格を平均化して算出される(その間に順次輸入していたから)。

シカゴ取引所における昨年後半以降の小麦価格の変移
シカゴ取引所における昨年8月以降の小麦価格の変移(【フジフューチャーズ】から)。この半年で2倍近くに跳ね上がっているのが分かる。12月に最高値をつけたあとはボックス圏内で安定している

単純計算で平均価格に連動させ価格決定すると、2007年10月に決定した価格(代表的な5銘柄の平均で5万3270円/トン、前回比+10%)に40%近い上乗せをしなければならない。しかし影響の大きさを考慮し、値上げ幅をやや圧縮する見込み。

4月の小麦販売価格を決定する期間、2007年6月から2008年1月が経過し、大幅な値上げが避けられない状況になったことを受け、早くも関連業界では値上げの検討をする話が出てきている。リリースは出されていないが[読売新聞]などによると[日清食品(2897)]では再度の商品値上げを検討せざるを得ないとの見解を示したという。商品価格を決定する要素としては小麦以外にパッケージなどに用いる石油や人件費が考えられるが、両者ともほぼ高止まり(石油はやや下げる傾向にあるが……)。しかも小麦は食品においてもっとも重要で価格に占める割合の大きな要素。

その大要素の原料が3割前後値上げするとなれば、前回の値上げラッシュにおける1割前後と比べてもはるかに大規模な値上げが行なわれることは想像するに難くない。日清食品に限らず、小麦を材料とする粉系業界ではこれから春にかけて、再度値上げの告知が相次いで行なわれそうである。


(最終更新:2013/08/14)

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