不況からあなたのお金を守る5つの方法

2008年02月14日 08:00

アメリカでは景気後退・不況こと「リセッション」が間近ではないかと連日報道されている。この「リセッション」とは生産活動や消費行動にかげりが見え、失業率が上昇する現象のことを指す。「今日からリセッションです」と区切ってそれ以前は景気が良い、というたぐいのものではない気もするが、言葉の定義上の「リセッション」の場合は、全米経済研究所が提示する実質国民総生産が前年比で2四半期以上連続して減少した時点を意味する。恐らくそう遠くないうちにこの宣言が出されることだろう。そのような「不景気に向けた崖っぷち」状況下にアメリカにおいて「どのように自分のお金を守るべきか」について語られたコラム記事が掲載されていた。日本国内でも役立ちそうな、汎用的で規範的な内容だったのでここに紹介する(【原文:Five ways to shield your money from recession(USA TODAY)】)。

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●1.お金はごみではありません(Cash isn't trash)

そのままでは何も生み出さない現金を「そのままにしておくのはもったいない」とする考え方がある。好景気下なら事実だが、現状においてはそうでもない。現金はオールマイティに使える、「最高の投資」に他ならない。

ここで注意したいのは、本当の意味での現金以外に、短期国債や他の短期利子付き公債もまた現金と同等に扱われていること。FRBの金利引下げで利回りは随分下がってしまった。それでも「お金を守る手段」としては有効に違いない。なぜなら、短期国債の利回りが2%しかなかったとしても、2%の利回りは「株式市場の10%の損失と比べたらすいぶんと良いものに見える」からである。

また、流動性も十分に吟味する必要がある。不況下では失業のリスクも考えねばならない。仕事を得ている状態なら3か月~半年分、退職あるいは退職間近なら1年分の生活費は貯蓄しておく必要があるという(もっとも不況下でも引っ張りだこなので、看護師ならばそこまで考えなくともよい、と原文にはある。数が不足しているのは日本も同様だが……)。

●2.高利回り商品の誘惑にかられるな(Don't reach for yield)

不況イメージ一般金利が下がると、高利回りで長期の有価証券が発行されるようになる。中には年利10%に達するものも出てくることだろう。しかしそれらの利回りは、リスクの裏づけでもある。デフォルトするかもしれないので、買い手を集めるために高利回りにして魅力を高めねばならないという事情によるものだ。

高利回りに引かれて手にした証券が、デフォルトを起こして単なる紙くずになってしまったのではお話にならない。

●3.配当を考えよう(Consider dividends)

有価証券、特に株式から得られる配当金をしっかりと計算する必要がある。原文では例として、過去30年間にS&P500株価指数は1445%上昇したが、それらの株式の配当をすべて逐次再投資していたらそのパフォーマンスは3751%にまで増えていた、と説明している。

また、債券の場合は提示された利回りが変化することはないが、株式においては配当が増えたり減ったりすることもある。インフレが進めば同じ利回りなら実質的に目減りすることになる。しかし配当を逐次上げる傾向にある会社なら、インフレの影響を最小限にとどめ、さらに飛び越えることすら可能である。

●4.最悪の事態に備えよう(Plan for the worst)

「1.」とかぶる部分があるが、不況下において最悪の事態とは失業に他ならない。そして不況下では好景気と比べ、その可能性は飛躍的に上昇する。仕事を失えば新たに職を得るまで収入源を無くし、貯蓄を切り崩さねばならなくなる。このような事態に備え、家計の貸借対照表などの財務諸表……というと大げさなので「家計簿」としておこう……を再チェックしておく必要がある。

衝動買いを極力ひかえ、必要なもののみを購入するように心がける。これが基本。クレジットカードの利用は極力控える(ここはアメリカらしい)。借入金を抑えておけば、何か不測の事態が起きた時に借りることができる額の上限を増やしておくこともできる。

●5.人生計画を立てよう(Make a plan)

最後に元記事では、日本では「ライフプラン」と呼ばれる、お金に関する中長期のポートフォリオや計画を創り上げることを勧めている。例えば「5年後に引退するから、手持ちの資金をすべて株に投入する」などという無謀なことはしないように。

例えば国内株式・投信と海外株式投信、国内債券と海外債券などのようにいくつかの市場に運用資金を分散する。投資額や目標、自分の性格などで割合は変更する必要があるだろう。互いの相関関係が浅ければ、一つの部門が下落しても、他の部門がそれを補ってくれるはず。時々それぞれの部門の成績を見て、注力度合を変更すれば良い。

このような「資産を配分してリスクを回避しつつ利益を得る仕組み」をアセットアロケーションと呼ぶ。この仕組みを作るのが面倒、あるいは分からないという場合には「専門家に相談する」という投資をしなさいと元記事ではまとめている。日本の場合はファイナンシャル・プランナーなどが該当するだろう。


最後に元記事では「リセッション(不況)がやってきたとしても永遠に続くものではなく、いつかは好景気が再び訪れるもの。長い目で見れば、不景気の時より好景気の時の方が長期間続くものなのですよ」と締めている。現在日本では過去最高の好景気が継続しているとしているが、【企業も消費者も「景気悪いね」~景気動向指数悪化・ITバブル崩壊後に近づく】にもあるように庶民感覚ではすでに不況の真っ只中に他ならない。

その意味では「不況に備える」という今回の記事の主旨は多分に間に合わない可能性もあるが、日本でも十分に役立つ内容といえるだろう。

なお今記事については後ほど、日本の場合にあてはめて再検討し補足した記事を掲載する予定。今しばらくお待ちあれ。

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