テラメント、期日までに訂正報告書提出せず 金融庁は厳しく対応へ・再発防止策も検討

2008年01月29日 08:00

株式イメージ先に【金融庁、テラメントに対し訂正命令発す・異例の日曜処分】などで報じた、神奈川県のテラメントが日本の上場大企業6社の株式過半数を取得したとする大量所有報告書を提出した件で、金融庁は「28日までに訂正報告書提出を」とした行政処分を行なったが、この処分にテラメント側は応じなかったことが判明した。金融庁側では法令に従い適正に対応するとした上で、専門チームを設けて再発防止策をまとめることも明らかにしている。

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今件は【トヨタやNTT、ソニー、フジテレビがテラメントに買収された日】にもあるように、テラメントが【フジテレビ(4676)】【アステラス製薬(4503)】【三菱重工(7011)】【ソニー(6758)】【NTT(9432)】【トヨタ(7203)】の6社の株式をそれぞれ51%、20兆円強で購入したとする大量保有報告書を1月25日夕方に提出したもの。5%ルールや浮動株数、放送法の問題などから「ありえない」内容であったが、発表当初から財務諸表など企業の開示情報を閲覧できる電子システム「EDINET」(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)で不特定多数の人に閲覧が可能なため、問題視された。

金融庁ではこれに対しテラメントに対して聴聞を行なったうえで大量保有報告書が虚偽であると認定、27日午後には訂正命令の行政処分を出した。行政処分の締め切りは28日だったものの、結局テラメントからは訂正報告書は提出されなかった。同社の山口滋代表取締役は各メディアに露出し意思表示をしているが、【ロイター通信】に対し、「間違いがあるなら訂正するが、まだ間違いかどうかは分からないので訂正する理由はない」と語り、事務手続き上の問題などではなく、意図的に従わなかったことを表明している。

これにより「事務的なミスではなく意図的に虚偽記載をした」ことになるので、金融庁側の命令中「重要な事項について虚偽の記載」に該当するという表記とあわせ、金融商品取引法第197条によれば「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(併科もあり)」に該当することになる。さらに今件は行政処分による訂正報告書提出の指示なので、従わなかった行為そのものも刑事罰の対象となる。

今件について28日の定例記者会見で金融庁の佐藤隆文長官はテラメントへの刑事告発について「法令に則って適正に対応していく」とした上で「起きた事象の社会的広がりや重要性、行われた行為の悪質性を踏まえる」とした。ただし「民間人を刑事罰に処する重要性も併せて考える」との見解も示している。

さらに今回の事態を受けて金融庁側では、再発防止策や取引時間中に各種報告書が開示された場合の危機管理の対応を検討するチームを立ちあげることを明らかにした。このチームのメンバーには金融庁だけでなく、各取引所や発行会社、さらにはシステム関係者からも選定する。立ち上げ時期はこれから検討する。

「虚偽報告があったときに相場が開いている場合、(今件のようなことがあった場合にそなえ)迅速な連絡体制が大事だ。明らかに虚偽の情報が流されたと認識された場合には取引停止のアクションを取引所でとるケースがひとつの例として考えられる」と指摘。その上で佐藤長官は、賛否両論が論じられている「即時開示」の仕組みや「大量保有報告書の提出について事前チェックをしなければならないのでは」とする意見について「開示の迅速性の観点から難しい。海外の事例でも、事前に時間をかけて審査するケースはあまりない」と事前チェックには否定的な認識を示している。

具体的対策はこれから検討されるのだろうが、仮に「取引時間中に問題のある報告があれば取引を停止する」という案が採用された場合、捨て駒的なダミー会社や個人登記による申請を使って、該当銘柄の取引停止を意図的に狙った「ありえない報告書の提出・開示」という手段が用いられる可能性は否定できない。それらの可能性を極力少なくするためにも、歯止めとなる「ペナルティ」をさらに重くすると共に、厳格に適用する断固たる姿勢を見せるべきだろう。


(最終更新:2013/08/14)


※当方(不破)は法的資格における有資格者ではありません。すでに注意書きなどで告知はしてありますが、記事上の言及について法的な裏づけはなく、またそれを保証するものでもありません。法的解釈など最終判断は各自の自己責任で願います。

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