[UpDate]金融庁、テラメントに対し訂正命令発す・異例の日曜処分

2008年01月28日 06:30

株式イメージ金融庁は1月27日夕方、管轄の関東財務局が1月25日に大量保有報告書を提出したテラメント株式会社(川崎市麻生区)に対し、金融商品取引法第27条の29第1項において準用する同法第10条第1項の規定に基づき、同大量保有報告書の訂正報告書の提出を命ずる行政処分を行なったと発表した(【発表リリース】)。

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今件は【トヨタやNTT、ソニー、フジテレビがテラメントに買収された日】にもあるように、テラメントが【フジテレビ(4676)】【アステラス製薬(4503)】【三菱重工(7011)】【ソニー(6758)】【NTT(9432)】【トヨタ(7203)】の6社の株式をそれぞれ51%、20兆円強で購入したとする大量保有報告書を1月25日夕方に提出したもの。5%ルールや浮動株数、放送法の問題などから「ありえない」内容であったが、発表当初から財務諸表など企業の開示情報を閲覧できる電子システム「EDINET」(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)で不特定多数の人に閲覧が可能なため、問題視された。

「虚偽申請である」ことの実証は【テラメント問題続報 当人曰く「訂正報告書を出すつもりはない」】にもあるように容易に出来ることや、該当の大量保有報告書が提出されてからわずか4時間で金融庁が記者会見を開くと共に「虚偽記載と認められれば、訂正命令を含め厳正に対処します」とするコメントを(管理業務を行なう部局や外注の関係から通常は週明けに行なわれるが)公式サイト上に掲載するなど、関連当局側でも「本気」どころか「やる気」で対処していく姿勢を見せていたこともあり、土日の事態進展もありうると推定されていた。

今回、日曜夕方の行政処分命令の発動という異例の措置がとられたのは、「EDINETの「スキ」をついた」ということだけでなく、「該当者による意図的な行為であること」、そして何よりも「同様の報告書提出を『一見して分からないような範囲の虚偽で出されたら』という、信義則で成り立っているシステムそのものへの信用を失墜させる可能性がある」ことなどを考慮するに、事態が極めて重大であり、断固たる措置を早急に取らなければならないと金融庁側が判断したことによると思われる。

ちなみに今回行政処分の根拠となった金融商品取引法第27条の29第1項、及び第10条第1項とは次の通り。

(大量保有報告書等の訂正報告書の提出命令)
第二十七条の二十九  第九条第一項及び第十条第一項の規定は、大量保有報告書及び変更報告書について準用する。この場合において、同項中「提出を命じ、必要があると認めるときは、第四条第一項又は第二項の規定による届出の効力の停止」とあるのは、「提出」と読み替えるものとする。

(虚偽記載等による訂正届出書の提出命令及び効力の停止命令)
第十条  内閣総理大臣は、有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、いつでも、届出者に対し、訂正届出書の提出を命じ、必要があると認めるときは、第四条第一項又は第二項の規定による届出の効力の停止を命ずることができる。この場合においては、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。


つまりテラメントは(形式上は、だが)内閣総理大臣から訂正報告書の提出を義務付けられたことになる。

またペナルティについてだが虚偽記載については、同じく金融商品取引法第197条によれば「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(併科もあり)」という規定がある。解釈次第では他のペナルティも該当するかもしれない。

法的解釈云々は別にしても手痛い「報い」を受けることは間違いない。またそれは市場の信頼性を維持し、模倣犯を出さないためにも必要な措置と思われる。先の記事にもあるように、テラメント社の山口滋代表取締役当人は「訂正報告書を出すつもりはない」とインタビューに答えているという。どのような姿勢を見せるのか、またその態度いかんで金融庁がさらなるアクションを起こすのか、気になるところだ。

※19:45追加
関東財務局からも提出命令の告知が行なわれた(【リリース、PDF】)。1月28日月曜までに「各報告書に記載された内容の株券の取得の事実がない旨の記載及び当該事実に関連して必要となる各記載項目の訂正をした訂正報告書」を提出するよう求めている。


(最終更新:2013/08/14)


※当方(不破)は法的資格における有資格者ではありません。すでに注意書きなどで告知はしてありますが、記事上の言及について法的な裏づけはなく、またそれを保証するものでもありません。法的解釈など最終判断は各自の自己責任で願います。

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