生まれは生ごみや下水の泥! バイオガス普及促進「バイオガス・ネット・ジャパン」設立

2008年01月21日 06:30

バイオガス精製工場イメージ【日本総合研究所】など11社は1月15日、生ごみや下水汚泥などから作られる「バイオガス」の普及を目指した合同会社「バイオガス・ネット・ジャパン」を設立したと発表した。バイオガスの技術集約と開発、ネットワークと市場規模の拡大を目指すとしている(【発表リリース】)。

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バイオガスとは、バイオマス(生物資源……(バイオ/bio)の量(マス/mass)を由来とし、エネルギー源として再利用できる動植物から生まれた有機性の資源を指す)を使ったバイオマス燃料の一種類。化石燃料の代替品となり、同じバイオ燃料でもさとうきびやとうもろこしを使うバイオエタノールと異なり、「生ごみ・下水汚泥」などの廃棄物を原料にできるため、食料との奪い合いが生じない。さらにバイオガスを発生させるメタン発酵はすでに技術が確立済みで、生産コストが同じカロリーを生成するだけのエタノール生産と比べて約1/4に抑えられる。また、京都議定書においては「燃焼分の二酸化炭素を計算に含めなくてよい」という利点もある。

このような特性を持つバイオガスは、ドイツやスウェーデンなどではバイオエタノール以上(!)に普及が進んでいる。しかし二酸化炭素混合率が40%もあることなどから採算性を確保できず、日本ではエネルギーとして使われることなく燃焼処理されているケースがほとんどだという。

今回合同会社を設立したのは、このバイオガスの濃度をさらに高め、メタン濃度を95%にまで濃くした「精製バイオガス」にする精製技術を実証したことによるもの(2005年に設立した「バイオガス・ネットワーク・コンソーシアム」で実証実験を行ない、都市ガス・天然ガス相当にまで精製バイオガスの濃度を高めるだけでなく、精製バイオガスを運搬する技術の確立にも成功している)。この「精製バイオガス」を汎用可し、代替燃料として利用・普及させるのが狙いとのこと。

メタンを発酵して作られたガスに含まれる不純物(硫化水素など)は施設に悪影響を及ぼすため、精製をする必要がある。
バイオガスの精製システム(【日本ガスサイト】から)。メタンを発酵して作られたガスに含まれる不純物(硫化水素など)は施設に悪影響を及ぼすため、精製をする必要がある。

参加する企業は日本総研以外に上場企業では【兼松(8020)】【出光興産(5019)】【東京ガス(9531)】【日本ガス(8174)】など。今後「オンサイト高度利用(食品工場などのバイオガスの発生源で精製バイオガスを精製・利用するよう推進)」「輸送用燃料利用(産廃などからバイオガスを精製し、天然ガス自動車へ供給)」「ガス外販利用(畜産農家などから食品工場など外部需給層へ精製バイオガスの供給)」の3つを事業の柱として展開する予定。

神戸市で用いられている精製バイオガス利用の市バス
神戸市で用いられている
精製バイオガス利用の市バス

具体的には今年中に東京都内のごみ収集車など天然ガス自動車50台に、試験的に精製バイオガスを供給。現在は合同会社だが3年後までに株式会社に移行し、2015年には売上高230億円を目指す。日本総研ではバイオガスの市場規模が2000億円を超えると見ており、環境対策と再生可能エネルギーの活用促進を進める意味でも事業展開の拡大を図るとしている。

【原油高騰がもたらしたもの・北海道産の石炭が再注目を集める】でも触れたが現在原油高の環境下において、代替エネルギーが相対的に採算が取れるようになるという皮肉な状況にある。実際、今回の精製バイオガスでも、代替エネルギーにおいて大きなハードルとなる製造コストも、ガソリンに近づきつつあるという。実際に有効活用している国が複数存在し、資源として使えるのに打ち捨てていたものがあるのなら、使わないのは「もったいないお化け」が出るというもの。


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【「給食ごみ」=「バイオエタノール」+「バイオガス」な実験を東京ガスが実施】
【今度は「ガス」でバイオなものを活用する動きへ・「バイオガス」活用の動き高まる】

(最終更新:2013/08/18)

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