NHK記者ら3人、インサイダー取引の疑いで証取委から調査

2008年01月18日 06:30

NHKは1月17日、同局の報道記者ら3人がインサイダー取引をしていた疑いがあるとして、証券取引当監視委員会の調査を受けていると発表した。2007年の3月8日に外食大手の[ゼンショー(7550)]が回転寿司チェーン店の【カッパ・クリエイト(7421)】をグループ会社化するとの特ダネニュースに関連し、3人がそれぞれカッパ・クリエイト株を購入、報道が行われた翌日に売り抜け、10万円から40万円程度の利益をあげたとしている([このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています])。

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リリースによると今件は2007年3月8日午後3時にNHKが特ダネとして報じた、カッパ・クリエイトのグループ化に関するニュースについて、職員3人の報道局テレビニュース部制作記者(33)、岐阜放送局放送部記者(30)、水戸放送局放送部ディレクター(40)がインサイダー取引をした疑いがあるとしている。調査を受けた3人のうち2人は放送の午後3時直前に、原稿システム端末でニュースの内容を知り、カッパ・クリエイト株を1000~3000株購入して(発表後の)翌日に売り抜けた、つまりインサイダー取引をしたことを認めている。もう一人はインサイダー取引を否定しているという。

NHK側では証券取引当監視委員会の任意調査に全面的に協力すると共に、調査委員会を設置し、事実関係の解明を急ぐと共に再発防止策をとりまとめ、発表するとしている。

今件については1月17日の午後3時から記者会見が行なわれており、その内容の一部始終が[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]などで伝えられている。それによると配信前の原稿をチェックする「原稿システム端末」を用い、14時38分の段階で該当ニュースを(社内報道関係者に)見られるようにしたところ、問題の取引をしたとされる該当者のうち2人がそれを見た上で職務中にカッパ・クリエイト株を購入したとのこと。もう一人、問題取引を否定している人物(どの人物かについては「調査途中なので控えたい」として明らかにされなかった)は「(自分は)株価の動きに敏感で、当日、どんどん株価が上がっていたので、買った」と主張しているという(どの道この社員は「職務怠慢」で厳しく罰せられるに違いない)。

報道関係者や内部従事者によるインサイダー取引は、信頼・信用から成り立っている社会の仕組みを悪用した、倫理的に見て「もっともしてはいけない」、フーテンの寅さん風にいえば「それをやっちゃぁおしめぇよ」的なもの。しかしながら【株券印刷会社の社員がインサイダー取引で逮捕、親族らにも情報を漏えいし1億円以上の利益】【インサイダー取引をした日経元社員に罰金600万円・追徴金1億1674万3900円の判決】など、同様の行為は次から次へと発覚し、そのたびに「深くおわび」「厳正に対処」という言い回しを耳にさせられる。

ましてや綱紀粛正が求められているマスコミ、しかも特にその方面でも最近注目を集めているNHKの関係者が今件のようなことをしていたことが発覚したとなれば、ニュースや新聞で株価が変動するような大きなニュースが報じられるたびに「ばれないようなレベルで、マスコミ内部でインサイダー取引をしているのだろうな」という嫌疑の目を、今まで以上に向けざるを得なくなる。どのように当人ら、そしてNHKや他のマスコミが否定しようとも、である。

誰も知らない情報を手中にし、それを使えばほぼ確実に大金を手に入れることができる。インサイダー取引にはそのような「魔力」がある。もちろんそれは法的に禁じられているし、特定情報を入手する立場の人は決してその「甘いささやき」に負けてはいけない。それが出来ないのは、本人の自制心が欠けているのが原因なのはいうまでもない。さらに対象となる環境(今回の場合はNHK)における全体としてのモラルや雰囲気自身に、「自覚」が不足していると断ぜられても否定はできないだろう。市場そのものへの信用・信頼感すら失われかねず、許されることでは絶対にあり得ない話である。

「信頼」というなかなか得られない、これまで先陣を行く人たちが一生懸命にためてきたカードを、易々と浪費するのは本人たちの自由。しかし今回のような出来事を起こしてそのカードを次々と使い、手持ちのカードが無くなってから他に八つ当たりをしたり、インチキをしたり駄々をこねるようなことは止めてほしいものだ。

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