仏大手銀行のディーラー、先物不正取引で過去最大規模の7700億円の損失を銀行に与える

2008年01月25日 06:30

株式イメージ【BBC News】【Financial Times】が伝えるところによると、フランスナンバー2の大手銀行ソシエテ・ジェネラル【Societe Generale】は1月24日、同銀行のディーラーJerome Kerviel氏による株価指数先物の不正取引で49億ユーロ(7700億円)の損失が発生したと発表した。この他に同銀行ではサブプライムローン関連の有価証券評価損として20.5億ユーロ(3200億円)の損失を計上。合わせて2007年10月~12月における計上損失は69.5億ユーロ(1兆0900億円)に登る。同行のダニエル・ブトン(Daniel Bouton)会長兼CEOは責任をとる形で辞意を表明したが、取締役会が慰留している。個人による不正における金額としては過去最大規模のものになる。

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今回事件を引き起こしたJerome Kerviel氏はDelta Oneという融資投資チームに従事していた弱冠31歳のディーラー。ソシエテ銀行側では同人について2000年に入社し、年収10万ユーロ未満の30代フランス人とだけコメントしている。また、複数ではなく単独犯行であると銀行側では確信しているという。

銀行側の説明によればJerome Kerviel氏は2007年から2008年の頭まで、与えられた権限を超えた額のヨーロッパ株価指数先物取引に関与し、さらにその不正を隠すために架空取引をねつ造していたという。今回世界規模で株価が下落した中で、不正が発覚した形。氏は銀行側の調べに対して自分の不正を認め、すでに銀行側は彼を解雇した。また上司も責任をとる形で退社した。一方フランス中央銀行も不正取引について調査に乗り出している。

『マネートレーダ/銀行崩壊』イメージ同銀行では今回の巨額損失を受けてダニエル・ブトン会長兼CEOが辞意を表明。しかと取締役会がこれを押し留めた。また、これだけ損失を出しつつも2007年度においては6億から8億ユーロの利益をあげていると説明している。ただし資本不足を避けるため、アメリカのモルガン・スタンレー及びJPモルガンを引き受け先とする、55億ユーロ(8500億円)の増資を実施することを発表した。

ソシエテ・ジェネラル銀行は1864年に設立された老舗中の老舗の銀行。2007年6月現在管理資産規模は4670億ユーロ(72兆円)、2250万人もの顧客と77か国に12万人もの従業員を抱えている。しかしながら今回の出来事は同行としては最大、そして個人ベースによる不正損失額としても【みずほ証券のジェイコム誤発注問題で連想したもの……映画紹介『マネートレーダ/銀行崩壊』】で解説した、1999年にニック・リーソン氏がイギリスのベアリングズ銀行絡みで出した損失8.6億ポンド(1380億円)の4~5倍にあたる、世界最大規模のもの。

奇しくもベアリングズ銀行もソシエテ・ジェネラル銀行もヨーロッパで100年以上の歴史を持つ老舗銀行であることや、先物取引による損失であること、事をしでかしたのが若手のディーラーであることなど、状況の点において似通っている部分が多い。これを偶然として片付けるのには少々無理がある気がしてならない。


(最終更新:2013/09/07)

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