11月の新設住宅戸数、前年同月比27.0%減・確実な底打ち感に向けた動き

2007年12月27日 19:35

住宅イメージ国土交通省は12月27日、2007年11月における新設住宅戸数のデータを発表した。それによると11月の新設住宅戸数は前年の同月比で27.0%減の8万4252戸に留まり、5か月連続して前年同月比で減少したことが明らかになった。ただし先月比では先月以来二か月連続の増加となり、また、前年同月比のマイナスポイントも着実に減りつつあることなど、底打ち感が見受けられる。(【発表リリース、PDF】)。

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具体的な内訳は持家が7.6%、貸家は23.4%、分譲住宅は47.4%の減少。とりわけ分譲住宅のうちマンションは63.9%と先月同様非常に大きな減少率を見せた。ただ、これら列挙した数字すべてにおいて、昨月よりは改善されており、全体の販売戸数同様、底打ち感を体感できる。

改正建築基準法の施行は、くだんの「姉歯建設設計事務所による耐震強度偽装事件」をきっかけに全国で多数発覚した耐震偽装の再発を防ぐためのもの。住宅を着工するのに必要な建築確認の審査を厳しくして審査期間も延長。さらに検査機関以外に専門家も確認するなど、複数のプロセスを経るようにした。

事件を教訓として安全な住宅を市民に提供するという意図は正しいものであり、業界そのものの改善や住宅を供給される市民にとってプラスとなることは疑うべくもない。しかし行政側の準備不足や不手際(特に「大臣認定プログラム」や審査担当者絶対数の不足)が目立ち今回の混乱、そして結果としての新設住宅戸数の減少をもたらしているのは否定できない。そして現在においても新ルールに基づいた「大臣認定プログラム」が販売されていないなど、事態の収拾は済んでいない。

新設住宅戸数の変遷
新設住宅戸数の変遷(2007年11月分まで)

グラフや各種データを見る限り、激減した8月分からほぼ横ばいに推移していたデータも10月分からは上昇傾向を継続しており、先月発表分で推定された「底打感」がほぼ確実に裏づけられた形となった。前年同月比とほぼ変わらずの域に達するまでにはもう数か月は必要だと思われることや、「認定ソフト」の問題もあるためためもうしばらく状況の観察が必要だが、最悪の時期は脱したと見て良いのかもしれない。

また、着工床面積概要も同様の下落を示しているが、先月と比べて住居用・非住居用の減少率の高低が逆転し、住居用の減少率の方が高い結果となっている。倉庫が53.3%減と軟調なのは相変わらずだが、店舗用が82.1%増と大幅に増えているのが頼もしく見受けられる。

耐震強度偽装問題を教訓にした
「改正建築基準法」の施行
→行政の不手際などで
新築戸数などが激減
→一部反転の数字を見せる。
本格的な再上昇の気運あり

国土交通省では同日、住宅着工に一か月ほど先行するといわれている建築確認件数も発表している(【「最近の建築確認件数等の状況について」発表リリース】)。これによると全体では交付数において5月が前年同月比で6.5%マイナスだったのに対し6月は9.7%、7月に入ると大きく下がり39.4%、8月には24.5%そして9月には27.5%それぞれマイナスを記録しているが、10月には11.1%のマイナスと若干回復の兆しを見せている。そして最新のデータでは9.6%のマイナスと、マイナスには違いないがポイント数で先月比1.5ポイントの回復が見られる。このデータを見ても、「底打ち感」の予兆を感じることはできる。

国土交通省から今回発表されたデータは、先月同様改正建築基準法施行の影響の大きさ、そしてその影響による住宅不況の底打ち感を推定できるものとして注目されている。【改正建築基準法で影響を受ける周辺業界たち】でも触れたように、建設業そのものだけでなく周辺業界への影響も深刻化の一途をたどっている。底打ち感が本物であれば、これら周辺業界の状況もじきに改善の方向に進むものと思われる。特にこの時期にこのような結果が出たことは、来年に向けた期待を得られるものとして好感できよう。

今回の改正建築基準法施行は特に行政側の不手際の多さから、「日本版サブプライムローン問題になるのでは」とまで懸念されている。同じようなミスを繰り返さないために行政側への問題提議も必要だが、まずは一刻も早い状況そのものの改善を望みたいところだ。

(最終更新:2013/08/18)

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