ジム・ロジャーズ氏いわく「中国株式は”まだ”バブルではない」

2007年10月27日 12:00

株式イメージ商品先物取引分野で世界的に有名な投資家ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)氏は10月24日、イギリスのデイリー・テレグラフ紙とのインタビューに応じ、その中で「アメリカ経済はすでに景気後退(recession)に直面している(the US economy was "in recession")」と語り、手持ちの米ドルを売り、日本円や人民元、スイスフランに投資する方針であることを明らかにした。また中国株式について「”まだ”バブル状態ではない」と語り、今後も上昇する可能性が高いことを示唆した(【該当記事、英語】)。

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ジム・ロジャーズ氏がサンデーテレグラムとのインタビューの中で述べたことは大きく二つ。一つが「アメリカ売り」、もう一つが「中国買い」というものだ。

「アメリカ経済はすでに景気後退に直面している」

ジム・ロジャーズ氏はまず「アメリカの経済はすでに景気後退入りに直面している」とした上で「アメリカの産業の多くが、”景気後退”以上の悪い状態にある。もしFRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が市場に大量の資金投入をしていなければ、株価は今の水準より大幅に下がっていたに違いない」と述べている。

さらに同氏は景気後退を示していることにより「今後半年間状況が変わらなければ、ドルを売ることになるだろう。そして日本円やスイスフラン、中国元を買うことになる」と主張。ただし高騰を続けているヨーロッパ通貨の状況を懸念し、「スイスフランが急上昇して天井をつけているようであれば、スイスフランを買う事はない」とも付け加えている。

「中国経済は”まだ”バブル状態ではない」

続いて中国経済については「まだ継続的な成長の気運を感じている。現時点ではバブルではないだろう」とコメント。ただし(指標の一つである)上海総合株価指数(SSEC)が来年1月に9000を超すようなことになれば、バブルの可能性も出てくるので売りを入れねばならないだろうとも付け加えている。いわく「バブルの終末はいつもひどいものだ(Bubbles always end badly)」。

ただしその一方、「(しかし)自分は中国株は売りたくはない。ずっと持ち続けていたいし、自分の4歳になる娘に対しても持たせたい(※「譲渡したい」とも読める)」とも述べて、中国株式への投資については中長期のスタンスで望むとしている。

上海総合株価指数(SSEC)の動向
上海総合株価指数(SSEC)の動向

ちなみに【上海総合株価指数】はインタビューの24日時点で5843。26日の終値は5589.6。ジム・ロジャーズ氏が述べた「9000」という一つの目標値に達するには、ここから60%ほどの上昇が必要になる。昨今の急上昇ぶりを見るに不可能ではないようにも見えるが、なにぶん乱高下が激しいので、ジム・ロジャーズ氏が実際に「売りに出さねばならないような状況」になるかどうかは未知数。

一方、大証が10月23日に上場した【上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(1309)】(参照:【大証が中国株ETF上場】)も妙なノリと「現物株式感覚で中国株と連動する証券が買える」というインパクトの強さから人気が高まり、信託金限度額が110億円から220億円に引き上げられるなど、各種措置が取られている。

上場してから4日しか経過していないのでチャートも何もあったものではないが(笑)上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(1309)の値動きと出来高
上場してから4日しか経過していないのでチャートも何もあったものではないが(笑)上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(1309)の値動きと出来高

上場直後はまさに大花火大会の如く買いが殺到して値がつりあがったが、その熱も醒めたのか、出来高の減少と共に株価も急落。ETFそのものが対象としている株価指数から算出された参考価格に近づきつつある。もうしばらくすれば状況も落ち着くことだろう。

かつてジム・ロジャーズ氏「原油は100ドルに達する」と語った。いまや90ドルを超えてその予測が現実のものとなりつつある。氏が今回語ったコメントが、単なるブラフなのか、世論誘導なのか、それとも真の予測なのかは分からない。しかし、市場や投資家心理に与えるインパクトが小さくないことだけは確かだろう。


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(最終更新:2013/08/18)

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