「滝」「乱」「損」……漢字から分かる夏季相場の実情

2007年09月18日 06:30

【8月17日の日経平均は今世紀二番目の下落率・今後の下値目安はどこに!?】にもあるように、アメリカのサブプライム問題をきっかけにした世界的な金融不安と株価の急落は、今夏季市場相場にも大きな影響を与えている。株価は急落したあと一進一退を続けており、本格的な回復への道はまだ見えない状態。そのような状況の中、8月18日に『「今夏の株式市場を漢字一文字で表すと?」というアンケート』をスタートしたが、その中間結果を発表することにする。トップは株価の急落を見事に表現した「」だった。

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一か月が経過した9月18日段階で得票数は47票。やや少なめなのが残念なところ。2票以上獲得した漢字をすべて列挙すると次のようになる。

・滝……11票
・乱……8票
・損……5票
・激……4票
・縮……4票
・米……2票
・歩……2票
・罠……2票
・崩……2票


上記リンクにもあるが、8月中旬の株価急落のチャートはまさに「急降下」の様相を呈しており、「滝」という漢字がぴったり合うといえる。自分の損得は別として、ただ現実を認識せざるを得ない心理状態が見事に再現されているといえよう。……あるいは株価を見て、汗が滝のように流れ落ちた、という意味合いもあるのかもしれない。

8月17日一日の日経平均の値動き。
8月17日一日の日経平均の値動き。

続いての漢字は「乱」で8票。急落のしばらく前からじわじわと相場は軟調傾向に移行しつつあったが、この急落で多くの個人投資家がポジションの整理(損切り)を余儀なくされている。また同時期に起きた急激な円高で、外国為替証拠金取引(FX)でも多数の「退場者」が出たという話も耳にする。市場そのものも、投資家たちの心境も乱れているという意味で「乱」はぴったりくる。

「損」は投資家の財務状況そのもの。この機会に乗じて低迷した優良株を買い込んだ人も利益が出るまでにはしばらく時間はかかるし、それまでは含み損と付き合う必要がある。売り方の中には大いに儲けており「得」という心理状況にある人もいるはずなのだが、それが見られないのは買い方以上に売り方が難しい証しなのかもしれない。

「激」「縮」「崩」も市場の動向を現していると共に、各投資家の「お財布の中身」をも表している、的確な漢字といえる。

「米」はお米の市場、ではなくて「アメリカ」。昨今の相場不安定感がアメリカのサブプライムローンを起因としていることへの表現といえる。

今ひとつ分からないのが「歩」。公定歩合の「歩」ではないし、相場は「歩く」どころか「走る」、むしろ「暴走」するような展開を続けている。元の堅調相場に戻る方向へは歩くようなスピードでしか回復していないと見えている、ということなのだろうか。


「夏季」という定義はさまざまであるのと共に、8月17日の急落に象徴される「サブプライム急落」とその後の軟調相場は、まだしばらく継続するものと思われる。今アンケートも9月一杯までは継続し、最終報告を10月初旬に行なうことにしよう。

……直後に「秋季の株式市場を漢字一文字で表すと?」というアンケートをしなければならないほど、再び相場が急落することのないよう祈りながら。


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(最終更新:2013/08/19)

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