「ほっかほっか亭」のプレナス(9945)、廃食用油を再利用して燃料にする「フライ油リサイクルシステム」稼動開始

2007年09月05日 06:30

ほっかほっか亭配送用車両イメージお弁当チェーン店の「ほっかほっか亭」などを運営する【プレナス(9945)】は9月4日、店で使ったフライ油を精製して、配送車の燃料(バイオディーゼル燃料)として再利用する「フライ油リサイクルシステム」を10月から九州・山口地区で展開できる見通しが立ったことを発表した。当初予定の1月から、約一年近く遅れてのスタートとなる(【発表リリース、PDF】)。

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今計画は当初「廃食用油リサイクルシステム」として、昨年秋口に発表していたもの。ひとことでまとめれば「お弁当を作る時に使ったフライ油を回収して、バイオディーゼル燃料(BDF、植物の含有油脂を原料としたディーゼルエンジンを稼働させることのできる軽油代替燃料)に精製して再利用しよう」というもの。出来上がった燃料は自社商品を各店舗に配送する車両の燃料として再利用する。今回計画稼動のめどがたったのは、製造されるバイオディーゼル燃料の製造方法の改良の促進と共に、バイオディーゼル燃料専用の給油所「プレナス ステーション」が福岡県朝倉市の物流センター敷地内に10月にも完成するため。

なお燃料そのものの製造は西田商運が行なう。西田商運では3年前から自社トラックの代替燃料としてバイオディーゼル燃料を製造しているため、今回のプロジェクトに協力してもらうことになったという。

「フライ油リサイクルシステム」のしくみ
「フライ油リサイクルシステム」のしくみ

今回「フライ油リサイクルシステム」の利用を始める九州・山口地区の店舗「ほっかほっか亭」「やよい亭」では、年間131万リットルほどの廃食用油を排出している。これらをすべて回収して精製すると年間約118万リットルものバイオディーゼル燃料が製造できる。これを燃料として使用することで約3100トンもの二酸化炭素の削減が期待できるとのこと。

リリースにもあるように、店舗使用済みフライ油の回収から燃料として使用するまでを自社で完結するリサイクルシステムは、日本初となる。精製工場の確保(今回はすでに経験のある会社の協力が得られた)や専用給油ステーションの設置、対応車両の整備、各店舗の回収システムの構築など、1企業が行なうにはやや負担が大きいようにすら見受けられるシステムの導入のメリットとして、プレナス側では「バイオ燃料の品質向上と温室効果ガス排出抑制」「地球環境に配慮・貢献し、企業としての社会的責任を果たす」を掲げている。

システムの導入や維持の費用と、そこから得られる直接的な金銭的メリット(燃料費の節約など)を比較すれば、リリースには記載はないものの恐らくは赤字になると思われる。しかし負担が大きくともプレナスが「フライ油リサイクルシステム」を導入するのには、「社会的責任を果たすことによる企業イメージの好影響」が大きな要因だろう。

最近では地球環境問題が大きく叫ばれ、環境に優しい企業に対する消費者の注目も高まっている。中長期的な視点で考えれば、多少の赤字となっても全体的にはプラスとなるというそろばん勘定が成り立ったに違いない。

さらにリリースにもあるように、主事業とはまったく別物であるが、バイオ燃料の大量生産・大量流通・大量消費に関するノウハウを得られるのも大きい。今回の「フライ油リサイクルシステム」は自社流通網内で大規模な運用実験をしているようなもので、他の企業では決して得られない貴重な経験をプレナスは獲得することができる。

プレナスがこの経験をどのように活かすかは現在のところ未知数。お弁当の販売とはまったく別方面での展開となるだろうが、今後新たな事業のスタートも想定できよう。


■関連記事:
【「ほっかほっか亭」のプレナス(9945)、廃食用油を再利用して燃料として活用する計画を発表(2006/09/06)】

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