転職で賃金上昇多し、ただし40代以降は減少傾向

2007年08月28日 12:30

転職イメージ厚生労働省が8月22日に発表した2006年における雇用動向調査結果によると、転職前後の賃金を比較したところ、全体的には「増加」した割合は34.0%、「減少」した割合は28.7%となり、転職により少なくとも賃金の面で成功した人の方が多いことが明らかになった。ただし45歳を超えると「減少」が「増加」を上回り、賃金の面でもこの年齢層以降の転職が難しいことをうかがわせる結果となっている(【発表リリース】)。

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今調査は上半期は2006年7月、下半期は翌年1月16日から2月15日の間に行なわれたもので、対象事業所数は1万3807。平均有効回答率は77.0%で、集計入職者数は8万5734人。集計離職者数は9万1724人。

転職者の前職と今職における賃金を比較した場合、全体的には「増加」組が「減少」組より多い結果が出ている。

転職入職者の賃金変動状況
転職入職者の賃金変動状況

さらに1割以上の増加・減少がそれぞれ1割未満の増加・減少よりも多く、転職によって賃金に大きな変動が起きた人の割合が多いことが分かる。

転職後の賃金の上下は年齢層ごとに違いがあるが、大まかにまとめると

・若年層では転職で賃金が大幅に上昇する割合が高い
・年を経るにつれて転職による賃金上昇率、さらには上昇するか否かの確率が減る
・45歳で転職による賃金減少組が賃金上昇組を上回る(逆転する)


という傾向が見られる。また特別な事例として60~64歳は「定年・早期退職後に顧問や嘱託として本社に再雇用」というパターン、65歳以上は「定年退職後に顧問や嘱託として、本社や関連会社、他社に再雇用」のパターンと推定される。前者は同一会社のため賃金が減る場合が極めて多いが、65歳以上の場合は関係の無い他の会社に再就職する場合もあるため、時として賃金が前職を上回る場合もある、ということだろう。

特に注目したいのは「40~44歳」の層。この層を含む若年層では「増加」組が「減少」組を上回っていたのに対し、この層を超えて年齢が経過すると、「減少」組が「増加」組を上回る、つまり「転職しても賃金が減少する人が多い」ことになる。

似たような話は同じ厚生労働省の年転職者実態調査結果でも明らかにされており(【転職後の賃金、40代以上は「マイナス」多く厳しい現実】)、こらちとは5歳分ほどの差異があるものの、やはり賃金を前提に考えた場合「40歳代が転職のターニングポイント」であることが分かる。

今調査では45歳以上の転職において、単に「賃金が減少する」だけではなく、そのほとんどが「1割以上の減少」というある程度具体的な数字で減少額が示されている。単に「40歳以上の転職が厳しい」のではなく「相当厳しい」ことがうかがい知れよう。


賃金だけで仕事のすべてが決まるわけではないし、会社側事情により転職を余儀なくされる場合もある。それらは別にしても、賃金で転職を検討する場合、自分のスキルや経験でこれまで以上の高みを望めると確信できる場合を除いては、自分の年齢と相談した上で決意した方がよい、という結論が今回の調査結果から導き出されたといえよう。

先日日経オンラインに【「転職市場に出てくる人材で本当に“転職すべき”は約2割」】という話が掲載されていた。そこでも賃金以外の観点から「40代が節目になる」という話が語られてた。同時に「隣の芝は青く見える」という言い回しを用い、「転職が本当に必要なのかどうか、もう一度自分に問いかけてみよう」と問いただしている。

現実を認識するための資料はいくらでも手に入る。それらに良く目を通した上で、人生の決断をするにこしたことはないだろう。


(最終更新:2013/08/19)

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