ドコモユーザーは他社ユーザーよりも「ドコモの料金が高い」とは思っていない

2007年07月23日 06:30

モバイルを中心に広告代理事業などを手がけるアップデイト社内のモバイルマーケティングデータ研究所は7月19日、携帯電話の利用に関する実態調査の結果を発表した。それによると、三大キャリアの中でも【NTTドコモ(9437)】に対して料金の高さを感じる人がもっとも多かったものの、そのドコモの携帯電話を利用している人自身は他のキャリア利用者よりも「高い」と思っている割合が少ないことが明らかになった。ナンバーポータビリティ制度が導入されてからある程度の期間が過ぎ、それでもなお世間一般に「料金が高い」と思われているドコモの端末を引き続き利用するユーザーにはそれなりの理由があり、料金の高さをある程度許容している様子がうかがえる(【発表リリース】)。

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今調査は7月6日から10日の間、19のモバイルサイトの協力のもとに行われたもので、有効回答数は9584人分。さまざまな質問が行われているが、一か月の携帯電話の「通話」料金はいくらになるかという問いには「5000円から9999円」と答えた人がもっとも多く、全体の42.1%を占めた。

■一か月の通話料金
0~2999円……12.1%
3000~4999円……5.4%
5000~9999円……42.1%
10000~14999円……27.2%
15000~19999円……7.5%
20000円以上……5.7%

「3000~4999円」の料金帯が5.4%と少なく、5000~14999円の料金帯が7割近くを占めていることから、「ほとんど使わない人が1割強」居る以外はほとんどの人が10000円前後の通話料金を支払っていることが分かる。「通話料金にしては案外多くないか?」というのが正直な感想で、可能ならば5000~9999円台の層をもう少し細分化して見たいところだ。

なお元データには年齢層ごとの詳細データも掲載されており、それによると「すべての年齢層で5000~9999円がもっとも多い」「20代は5000~14999円台が多く、30代になると15000円以上の割合が多くなる」という傾向が見られた。特に後者においては仕事で使う場合や、家族との会話が多くなるなど、音声による利用機会が増えるからだろうか。

さて肝心の「三大キャリア(NTTドコモ、【au(KDDI(9433))】【ソフトバンクモバイル(9984)】)ごとの料金イメージ」についてだが、全体としては「NTTドコモ>au>ソフトバンク」のような結果が出ている。

各携帯キャリア毎の料金イメージ(全体)
各携帯キャリア毎の料金イメージ(全体)

NTTドコモの料金を「安い」と感じている人はほとんどいない。また、相次いで割引キャンペーンを打ち出しているソフトバンクは「安い」と思う人がもっとも多いものの、「普通」と感じている人はauに及ばず、「安い」+「普通」をあわせた「高くはないので許容できるな」という層の割合はソフトバンクよりauが多いという結果が出ている。

また、auやソフトバンクの「安い」と回答した層と、NTTドコモの「高い」「普通」と答えた層の割合がほぼ一致しているのも奇妙な話ではある。

料金体系の変更や価格競争ではいつも水をあけられているNTTドコモ。今回の調査でも他キャリアと比べ「高い」という、あまりありがたくない評価をいただいているわけだが、実際にドコモユーザーは自分の携帯の料金をどのように思っているのか。特にNTTドコモの料金イメージについて、三キャリアそれぞれのユーザー別に尋ねたところ、興味深い結果が出ている。

保有携帯のキャリア毎のNTTドコモの料金へのイメージ
保有携帯のキャリア毎のNTTドコモの料金へのイメージ

他のキャリアの料金イメージはどのキャリアのユーザーでもあまり変わらない結果が出ているのに対し、ドコモの料金イメージについてのみ、このように「保有携帯のキャリアによって料金イメージに大きな差が出る」という結果が生じている。

いずれのキャリアでも「ドコモの料金が高い」と思っている人の割合は「安い」「普通」を大幅に上回り過半数を超していることに違いはない。しかしauやソフトバンクなどNTTドコモ以外のユーザーからすれば8割近くが「ドコモは高い」と感じているのに、ドコモのユーザー自身は6割程度しか「ドコモは高い」と考えていない。その差となる約2割分は、データを見る限りほぼすべてが「普通」の層にいるものと思われる。

絶対額的な料金体系からすると確かにNTTドコモの料金は高めかもしれない。先に【KDDIが基本使用料半額の「誰でも割」導入、同日中にソフトバンクも対抗策へ】でも挙げたようにauとソフトバンクが相次いで基本料金を大幅に引き下げる「誰でも割」「新・自分割引」を導入したのに対し、NTTドコモはその競争に応じなかったことも、料金体系に対する考え方を象徴する出来事の一つといえる。

それでもなおNTTドコモを使い続けるユーザーが、自分のキャリアの料金を(他キャリアユーザーよりも)高いとは思わない傾向が強いのは、単に他キャリアの料金体系の具体的な部分を知らずに「自分の使っているドコモのが普通なのだな」と思っているだけなのかもしれない。しかしその可能性よりは、ドコモが提供するサービスなどの点(サービス以外にブランド、信頼性などもあるだろう)で満足し、絶対額ではなく「費用対効果の面で」高い安いを考えている可能性の方が高いと思われる。

逆に考えればauやソフトバンクが「NTTドコモのユーザーに対し」ドコモのサービス(など)に匹敵するものを提供し続けますという姿勢を見せ、それを実践し、ドコモユーザーにそれを認識させることで、NTTドコモの「牙城」を崩せる可能性はある、と見ることもできよう。

そのような推論からすれば、今後の携帯電話の競争は、単なる料金の値下げ競争ではなく、いかに厚いケアと安定性の高い通信環境を提供し、会社そのものへの安心感を与え続けるかという、内容面の充実にこそ重点が置かれるのかもしれない。

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