情報は「面白い」ものを「探して」「共有する」時代へ

2007年07月20日 06:30

インターネットイメージ【Webマーケティングガイド】は7月18日、インターネット利用の変化や情報などの共有活動に関する調査結果を発表した。それによると83.3%のユーザーが2~3年間の間にネットでの情報収集の機会が増えたと答えていることが明らかになった。また、集めた情報、中でも「面白い」「便利な」「お得な」情報を皆と共有する傾向があることも調査結果から分かった(【発表リリース】)。

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今調査はインターネットを3年以上利用している20~49歳までの男女300人に対し行われたもので、年齢・男女比は答えが片寄らないように均等化されている。ただし調査母体数が少なめのため、世間の実情とは多少のぶれが生じている可能性があることを考慮しておく必要がある。

利用機会が増えたのは「ネットでの情報収集」「オンラインショッピング」

最初の質問は「ここ2、3年で利用する機会や時間が増えた(つまり一層お世話になっている)インターネットサービスとは」というもの。これについては83.3%が「インターネットでの情報収集」と答えた。

「ここ2、3年で利用する機会や時間が増えた(つまり一層お世話になっている)インターネットサービスとは」
「ここ2、3年で利用する機会や時間が増えた(つまり一層お世話になっている)インターネットサービスとは」

二位の「オンラインショッピング」も66.3%に達しており、この2項目が過半数を超えた回答を得られている。

以前【「はてなマークが頭に浮かんだら、まずネットで調べる」は92.4%】でもお伝えしたように、何か分からないことがあったらまずはネットで調べてみるという行動を採る人が大多数を占めていることが明らかになっている。それは今回の調査結果「ネットで情報収集する機会が増えた」でも裏づけられたといえよう。

またリリースにもあるように、検索エンジンの普及(利用率・利用頻度)とネットでの情報収集の頻度の増加には相関関係があることが推定される。なぜならインターネット上の情報検索には検索エンジンが欠かせないからだ。

ウィンドウショッピングのように何となくサイトを閲覧して知識を得るのならともかく、例えば「金融商品取引法ってなんだろう?」のように特定の言葉や事象について疑問を持ち、ネット上の情報から答えやヒントを得るには、検索エンジンで調べるのが一番無難で手っ取り早い。関連するサイトを一つ一つチェックして、関係のありそうな書き込みや項目一覧を探すより、検索エンジンに「金融商品取引法」と入力して検索し、そのキーワードがたくさん含まれている、内容を語っていそうなサイトを順番にチェックした方が、容易に回答を得られることだろう。

さらに「オンラインショッピング」が第二位に入っていることから、

「気になる情報」→「ネットで情報収集(検索エンジンで検索)」→「該当するサイトでオンラインショッピング」


という黄金方程式が推測できるが、今回の調査結果からだけでは推測の域を出ることができない。ただ、三位の「Eメール」との間には20%以上もの差があり、「ネットでの情報収集」「オンラインショッピング」が抜きん出ていることから、両者がまったく無関係でないことだけは確かなようだ。

情報の共用は進化過程? 「面白いものは皆で楽しみたい」

続いて行われた質問は「情報の共有」について。掲示板で告知をしたりソーシャルブックマークをしたり質問掲示板に回答したり動画や画像をアップロードするなど、俗に言う「Web2.0」的・CGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)的な仕組みを利用し、情報の共有を行うかどうかという問いには、「行わない」が47.3%、「たまに行う」が42.3%と、約半々の結果が出た。

情報の共有をネット上で行うか。
情報の共有をネット上で行うか。

「非常によく行う」+「たまに行う」の「(頻度はともあれ)情報の共有をネット上で行う」と答えた人は過半数を超えているものの、積極的な活用をしている人は1割程度でしかない。まだまだ「ネットでの情報は受動的」本位な人が多く、「能動的にも活用して双方向な情報展開でインターネットを楽しむ・利用する」人は多くないことがうかがえる。

とはいえこちらもリリースにあるが、インターネットにおける利用者の行動は

Attention(注意を引きつけられる) → Interest(興味関心を持つ) → Search(探してみる) → Action(購入やダウンロードなど必要な行動を採る) → Share(得た情報を第三者に提供し共有する)


というAISAS理論に変化しつつあるといわれている。これまでの利用者の行動がAIDMA理論(Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(願望)→Memory(自身に記憶))という自己完結型で成長の展開が難しいのに対し、ネット上でのAISAS理論に基づく行動パターンでは「Share」の部分で情報が拡散・拡大し増殖する可能性を多分に秘めている。これはシャノンが述べているように「情報エントロピーの拡大と拡散によりノイズが入り込み、全体が無価値化してしまう」危惧もある。が、適度なコントロールと集約を行うこと(例えばまとめサイトや要約サイト、解説サイトの活躍)で、効果的で有意義な情報の増加が期待できるだろう。

情報を共有する方法は現在多数に及ぶ。上記質問で実際に「共有する」と答えた人に、「それではそれらの手段を用いてどんな情報を共有するのか」とたずねたところ、「面白い」「便利な」「お得な」情報がトップ3を占めた。

「どのような情報を共有することが多いか」
「どのような情報を共有することが多いか」

四位以降には「驚き」「感動」などが入っているが、上位三位とは大きく水をあけられる票しか得られていない。これらのことから、「インターネットで情報を共有したい(他人にも教えてあげたい)」と思われる情報は、現時点では「面白い」「便利な」「お得」の3本柱で占められ、また利用者もそれを望んでいることが推測できる。

動画投稿サイトや
ソーシャルブックマーク、
掲示板やQ&Aサイト、
さらにはブログやサイトも
「情報の共有」の手段

思い返してみればYoutubeを始めとする動画投稿サイトや、ソーシャルブックマークサービスでも人気の上位に上がっているコンテンツのほとんどはこれら「面白い」「便利な」「お得」の要素を多分に含んでいる。また、興味深いことに、これらの要素はタブロイド誌などの娯楽系新聞や一般週刊誌などが非常に好む要素でもある。既存の紙媒体も、「多くの人に情報を知ってもらい、共有してほしい」という思惑で紙面構成をしていると考えれば、この一致も十分理解できよう。

【「共存を」40.40%、「閲覧するだけなら抵抗感ナシ」45.14%~動画投稿サイトの意識調査結果】でも触れたが、自分を心地よくさせてくれる情報は、好きな人にも分け与えたくなるもの。そうすることで、嬉しい感情を自分自身の限界枠を飛び越えさせ、「他人が喜んでいる」ことを感じることでさらなる幸福感を得られるからだ(独占欲に浸るのもいいが、自分ひとりで満喫するより1000人に「面白かったよ、教えてくれてありがとう」と言われる方が喜びの度合は多いはず)。

この考えは、実はサイトやブログで情報を展開している(当方含む)ウェブ運営者にも該当する。自分が知っている(入手した、考えた、推測した、創造した)情報を自分のウェブ・ブログ上に掲載し、読者に提供することで、同じ喜びや驚きなど感情の高まりを一人でも多くの人に経験してもらいたい、そのような思いの元で日々更新している人が多いと思われる。

その観点から考えれば、ウェブやブログの運営自身も立派な「情報の共有」だということになるのだろう。


(最終更新:2013/08/20)

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