「無料が一番、でも遊ぶのは30分以内」「女は男より無料ゲームが好き」オンラインゲームの課金制に関する調査結果

2007年05月12日 12:00

【矢野経済研究所】は5月9日、インターネット利用者一般における、パソコンや携帯電話向けオンラインゲームのサービスに関する課金制の動向調査結果を発表した(【発表リリース】)。それによるとオンラインゲームの課金制については老若男女すべてが「無料」をもっとも好む一方で、無料ゲームのプレイ時間は一日30分以内とする人が多いことが明らかになった。

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今調査は2006年7月から2007年1月までの間、ネットリサーチシステムを用いて行われたもので、有効回答者数は1203名。

それによると次のような結果が出た。興味深い内容が多いが、主に3点にしぼって内容を紹介することにしよう。

「無料が一番」だが「プレイ時間は30分未満」

利用経験のあるオンラインゲームの課金形態についての回答は、パソコン・携帯電話共に「完全無料」が最も多かった。

利用経験のあるオンラインゲームの課金形態について
利用経験のあるオンラインゲームの課金形態について

さまざまな課金体系が用意されているが、やはり基本は「完全無料が一番好まれている(プレイされている)」ということなのだろう。ある程度「ネットゲームは基本無料」といった考えが広まると、何らかの形で課金するタイプのゲームへのハードルは一層高くなる。

プレイスタイルは
ヒマつぶしのゲームは
「無料・短時間」
熱中したいネトゲーは
「有料・長時間」

そこで最近ではパソコンネットゲームで主流になりつつある「基本料金無料・アイテムやサービスで課金」とする「アイテム・アバター課金」を各メーカーは取り入れることになる。「サービスは無料で提供しますよ。でも『選択肢として』有料部分も用意しておきます」という「魅惑のささやき」を耳元で語るわけだ。しかしこの方法はあまり人気が無いように見える。あるいはこれから普及する、ということなのだろうか。

しかしその一方、完全無料制のゲームの一日あたりのプレイ時間は30分未満と回答する人が、パソコン・携帯電話を問わずもっとも多い。この点を考慮すると「ちょっとした時間つぶしにまでお金を取られたくない」「カジュアルゲームにまでお金は必要ない。たくさん無料ゲームがあるのだから」と考える一方で、「お金をかけてまで熱中したいゲームなのだから、長時間プレイしてのめりこみますよ!」というプレイヤー側の意気込みも感じられる。

パソコンゲームの場合、課金制は男性より女性が、若年層より高年齢層がハードルが高い

課金形態を年齢・性別でカテゴライズしたところ、男性よりも女性、若年齢層よりも高年齢層の方が完全無料制のゲームをたしなむ比率が高いことが分かった。逆に考えれば「若年齢層の男性は課金制のネットゲームにあまり拒否感を覚えない」ということになる。

特に男女差では同じ年齢層でも「何らかの形で課金制を導入している」ゲームをプレイする割合が、倍近い差が出ている。

だが全般的に「ネットゲームは完全無料のものをプレイしている」人が圧倒的に多いことには違いない。

携帯電話は課金制へのハードルが低い

しかしこの傾向も携帯電話でのネットゲームになると多少話が違ってくる。パソコンと違って携帯電話では「ゲームコンテンツが有料」という考えはある程度浸透しているようで、40代前後までの年齢層では「完全無料制」以上に何らかの課金制によるネットゲームの利用傾向が多くなっている。パソコンの時に見られた男女差もさほど開きはなく、年齢層によってはむしろ女性の方が課金制のネットゲーム経験者が多いほどだ。

携帯ネットゲームは
課金制を導入しやすい

これは有力ゲームメーカーによる携帯電話へのゲームコンテンツの(キャリアによる「公式サイト」での)配信が相次いでいるからに他ならない。『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』が携帯電話で遊べる、となれば例えそれが有料でも遊んでみたくなるのが人の常というものだ。

また、パソコンのネットゲームで主流になりつつある「アイテム・アバター課金」はほとんど利用されていなかった。これはそもそも論になるがそのシステムを導入している携帯ゲームがあまり存在しないからだろう。


ゲームの新しい形態として浸透しつつあるネットゲームだが、プレイする側も作る・運営する側も気になるのが、いかに収益をあげるか(料金を支払うか)という「ビジネスモデル」。携帯電話などのモバイルに限定されるが、先に【「有料なら見ない」が過半数・「200円が上限」~ケータイ動画に関する調査結果】でも説明したように、「それなりに優れた、あるいは対価分以上の価値があると判断されたものでないと課金コンテンツに客は集まらない」という観点では通常商品よりネット上のコンテンツのハードルは高い。それだけ利用者側の選択眼は厳しいことになる。

広告を挿入する、代理店制度を用いて運用料金をカバーするなど色々な発想が考えられているが、まだ決定打となりそうなものは見つかっていない。今回の調査で判明した「携帯電話上のコンテンツは課金制を導入しやすい(課金制に対するハードルが低い)」傾向にしても、無料コンテンツの普及が進めば、利用者側の認識はそう遠くないうちにパソコンと同じようになるだろう。

「いかに利用者から課金するか」あるいは「利用者から課金しなくとも収益を得られる構造を創り上げるか」が、今後運営・開発側の検討課題になるに違いない。

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