「有料なら見ない」が過半数・「200円が上限」~ケータイ動画に関する調査結果

2007年05月10日 19:30

モバイルイメージ【Webマーケティングガイド】【ネットエイジアリサーチ】が共同で調査し、5月8日に発表した結果によると、モバイル(携帯電話)動画の配信について「有料ならば見ないと考えている人が過半数」「200円までなら、が3割」という結果が出たことが明らかになった。また、今後観たい動画のジャンルについては圧倒的に「音楽(プロモーション動画)」が多いことが判明した(【発表ページ】)。

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今調査は10代から40代のモバイルユーザー300人が対象。抽出件数が少なく、また年齢層が比較的限定されているため、実際のモバイルユーザー全体の傾向とは多少ズレが生じる可能性があることを考慮して結果内容を見る必要があることをあらかじめお伝えしておく。

観たい動画は「音楽」「映画」「ドラマ」など

携帯電話で観たい動画
第1位:音楽
第2位:映画
第3位:ドラマ
第4位:アニメ
第5位:スポーツ

今後どのような動画を観たいかジャンルについてたずねたところ、唯一過半数を超したのが「音楽」で63.3%。音楽そのものは「聴く」ものであり「見(観)る」ものではないため、これは「PV(プロモーションビデオ・動画)を観る」と解釈してよいだろう。

元々携帯電話向けコンテンツ(サービスなどの内容)では着メロや着うたのニーズが圧倒的に高く、この傾向は携帯電話の普及が認知され始まった頃から現在に至るまで替わっていない。動画配信・受信が出来るようになった現在でも、「音楽に対するニーズ」は変わっておらず、むしろ動画を「音楽を一層楽しめる要素」としてとらえている向きがありそうだ。

上位陣は「映画」「ドラマ」「アニメ」と続くが、これらはいずれもテレビやビデオなどの既存メディア、あるいはパソコンでも十二分に閲覧できる内容。これらの代替品として、あるいは「いつでも見られるテレビやパソコン」としての認識が高い、ということなのだろうか。

データ取得数が少ないので誤差の範囲なのかもしれないが、本来携帯電話の機動性を十分に活かせる「ニュース」「商品紹介」や、こっそり見られるという観点でニーズが高く、コンテンツプロバイダ(特に雑誌などその方面の素材を大量に保有している出版社など)が期待して止まない「アイドル・グラビア」の動画に対するニーズが、わずか9.7%ときわめて低い値に留まったのも注目に値する。

「有料なら観ないね!」が過半数・ケータイ動画の有料制について

ケータイ動画の料金設定、つまり上記「今後観たい動画についてどれだけ払えるか」についてたずねたところ、過半数の56.3%が「有料なら観ない」と答えた。

「観たい動画」について、いくらなら適切と考えるか
「観たい動画」について、いくらなら適切と考えるか

多少の誤差はあるにしても、他のインターネットのコンテンツ同様に「有料なら範疇外」と考えている人が多いようだ。「インターネットサービスは無料が基本」という考えはケータイ動画にも浸透しているものと思われる。

動画に限らず人がお金を支払う、つまり対価を出してでも手に入れたいサービスとは「どうしてもそのサービスを利用したい」という欲望が強いか、「そのサービスを手に入れるにかかった費用以上の実入りが期待できる」のいずれかに他ならない。そう考えると、ケータイ電話経由で観る動画「音楽」「映画」「ドラマ」などに対しては、「お金を払ってでもどうしても観たい」と思わせるほどの魅力を感じている人はさほど多くないと推定できよう。

「有料でも良い」と
考える人の約7割は
200円までなら

また、「払っても良い派」のうち「100円未満なら」は動画を観たい人全体の17.3%、「100円から199円まで」が13.0%を占めた。つまり「動画を見たい人」の3割は「200円までなら払ってでもケータイで動画を観たい」と思っていることになる。さらに考え方を変えてみると、「ケータイ動画を観るのにお金を払っても良い」と考える人の2/3以上(44.7%のうち、17.3+13.0%、つまり(17.3+13.0)÷(100-56.3))が、「払っても200円まで」と考えていることになる。

もちろんこの「200円までなら」は観たいジャンルや年齢層によって大きく違いが出てくるはずだ。1万人ほどを対象とし、年齢層・性別・「もっとも観たいジャンル」別に対価としていくらまで出せるかを聞いて統計を出せば、非常に面白い調査結果が出るに違いない。


有料動画が許容されるのは
「どうしても観たい」か
「料金以上の実入りが望める」。
ケータイ動画もまた然り?

パソコン上のインターネットコンテンツとしての動画は「無料が基本」「動画配信側は広告などで対価を徴収。あるいは宣伝効果を対価とし、割り切る」をメインとしている。そして大きく分けると「ユーザーがどうしても手に入れたい、視聴側にとって欲求度のきわめて高い動画(例:アダルト、アイドルの限定動画、著名人の講演動画など)」「そのサービスを手に入れるにかかった費用以上の実入りが期待できる(株式投資やギャンブルの「必勝法」、有名講師による受験対策講座など)」の2系統でしか、有料での動画配信はビジネスとして成り立ちにくい。

パソコンやテレビとケータイの間には、機動性の高さや観るまでのハードルの低さ、実際に目にする環境などの違いはある。しかし、パソコンだろうとテレビだろうとケータイだろうと、動画にお金を払えるかどうかの決定には、ほぼ同じ判断材料が用いられる。

定額制の普及と本体機能の充実で、今後ケータイで動画を観る機会はますます増えるだろう。しかし観る側の選別眼は厳しく、対価の考えはさらに厳しい。動画を配信する側は、「無料でも採算が成り立ちうるビジネスモデル」を考えるか、「お金を払ってでも見てもらえるような工夫、あるいは魅力あるコンテンツ」の企画を作り出すことが求められよう。

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