アメリカでは8.5%の子どもが「ゲーム中毒」

2007年04月05日 19:30

ゲームイメージアメリカの調査機関Harris Interactiveは4月2日、アメリカの若年層たちのゲームへの熱中度に関する研究報告書【Video Game Addiction: Is it Real?】を発表した。それによるとアメリカの8歳から18歳の俗に言う「若年層」の8.5%に相当する数が病理臨床的に「ゲーム中毒(Pathological Gamers)」状態におちいっていることが明らかになった。

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この調査は2007年の1月17日から23日の間、アメリカの8歳から18歳の子どもたち1178人にオンライン上でアンケートを行った結果によるもの。

年を経るとゲームプレイ時間は増える。が、男女によって違いあり

ゲームをプレイする時間は年齢によって変化する。8歳から12歳は一週間あたりのプレイ時間数は13時間だが、13歳から18歳になるとこれが14時間にまで増える。ただ、男の子が8歳から12歳では16時間、13歳から18歳では18時間のプレイ時間になるの対し、女の子はそれぞれ10時間・8時間となった。女の子は男の子よりゲームをプレイする時間が少なく、また年を経るごとに時間が短くなるのが分かる。

ゲーム中毒な子どもに懸念あり

Harris Interactiveの若年教育リサーチ部門のSuzanne Martin教授は「若年層におけるゲームの普及とあわせ、ここまで彼らがゲームに注力している状況を見る限り、病理学的に問題があるといわざるを得ず、今後もさらなる調査の必要性を禁じえない(The prevalence of video gaming in youth culture in combination with this level of pathological video gaming is great cause for concern and highlights the need for further research in this arena.)」と述べている。

Harris Interactiveではこの「病理的」の部分について、つまり「ゲーム中毒」と判断されるほどゲームに熱中する時間が長い子どもは、

・週に5、6回はゲームをする
・ゲームプレイ経歴が長い
・学校での成績が他の子どもより落ち込んでいる(ゲーム中毒はBクラス、そうでない子はAかB)
・けんかに巻き込まれる
・体重が増加する
・注意力に欠ける場合が多い
・寝室にゲームを持ち込みしている場合が多い(65%、非ゲーム中毒者は41%)
・ゲームで遊ぶ時間が普通の子どもより長い(週24.5時間、非ゲーム中毒者は週12.1時間)


などの問題点、傾向を挙げている。まるで週刊誌の裏表紙の広告によく見受けられる「魔法のアイテム」の逆効果のようですらある。

ゲームへの親からの制限と「それでも遊びたい」気持ちはアメリカでも変わらない

テキストベースでの調査報告はこの程度だが、さらに詳しくは【PDFファイルにて提供されている】。そこには色々と興味深い結果が映し出されている。

例えば「自宅でのゲームプレイで何らかの制限を親などの保護者からうけているか」という問いには、次のような答えが出ている。いずれも年齢が幼い方が規制されている割合が多い。

「自宅でのゲームプレイで何らかの制限を親などの保護者からうけているか」
「自宅でのゲームプレイで何らかの制限を親などの保護者からうけているか」

特に、ゲームの種類については12歳以下の子どもは7割、13歳から18歳でも4割強が親から制限を受けていることになる。

その一方、特に年齢制限(レーティング)別に「どのレーティングのゲームでよく遊ぶ?」という問いには、(場合によってはアウトになる)Mや、本来なら全員がアウトのはずのAO(アダルトオンリー)なゲームと答えた子どもが少なからずいることが分かる。

「どのレーティングのゲームでよく遊ぶ?」(EC=小さな子ども、E=誰でもOK、E10+=10歳以上なら大丈夫、T=10歳代前半、M=17歳以上・一部過激な表現アリ、AO=大人だけ)
「どのレーティングのゲームでよく遊ぶ?」(EC=小さな子ども、E=誰でもOK、E10+=10歳以上なら大丈夫、T=10歳代前半、M=17歳以上・一部過激な表現アリ、AO=大人だけ)

それではそれらの「本来遊んではいけないレーティングのゲーム」をどこから手に入れたのか。自分で買う場合はもちろんだが、そのほかにもらったりしている場合もある。中には「親に買ってもらってそれを親も知っている」という状況の子どももいる。

「本来プレイしてはいけないレーティングのゲームを買ったこと、ある?」
「本来プレイしてはいけないレーティングのゲームを買ったこと、ある?」

本来制限しなければならない立場の親(保護者)が公認でレーティング違反のゲームを買い与えたり、子どもが自分のお金で買ってるのを知っても注意しない場合が多々あることがうかがえる。レーティングの機能と役割が厳密に周知されていないということなのか、それとも教育方針の違いによるものなのか。


子どもとそれを取り巻くゲームの環境や問題については、日本もアメリカもさほど変わらないようだ。調査結果から浮かび上がる数々の問題、例えば「レーティングが守られていない場合が多い」「ゲーム中毒な子どもには色々と問題点が生じうる」などを解決していくには、レポートにもあるようにこれまで以上の調査研究はもちろん、レーティングの意義の周知と、子どもへの周知、そして保護者の理解が求められることだろう。


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