石油元売りが進める「バイオ燃料」の輸送船第一便フランスから到着、27日から試験販売

2007年04月07日 11:00

根岸製油所イメージ[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]などが報じているように、石油元売り各社で形成される【石油連盟】が、10社共同でフランスから購入輸入したバイオエタノールを積んだタンカーが、4月6日に神奈川・横浜に到着し、【新日本石油(5001)】の根岸製油所に積み出しが行われた。27日には「バイオガソリン」の名前で、首都圏の50店舗のガソリンスタンドで試験販売が開始される。

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今回フランスから輸入されたのは、小麦から作られたバイオエタノールと石油系のガスを合成した、石油連盟側が進めるバイオエタノール形式の「ETBE」7800キロリットル。これを元に、日本では最大規模の製油能力(一日34万バレル)を持つ根岸製油所でレギュラーガソリンに7%混ぜた「バイオガソリン」を作り、4月27日からまずは首都圏50店舗のガソリンスタンドで試験的に販売する。

石油業界では今年度だけで1万2000キロリットル輸入を行い、今後2009年度までにバイオエタノールそのものを輸入してETBEを国産化できるよう設備を整える予定。「バイオガソリン」の価格は現状ではコスト面で割高だが、差額は石油業者が負担し、当面は一般のガソリンとほぼ同じ価格にとどめるという。

元々「植物は成長する過程で二酸化炭素を吸うから、それから作られたバイオエタノールは地球に優しい」という考えから「バイオエタノール燃料を使おう」という運動が進んでいるのは既報の通り。しかし今回の石油元売り各社の動きのように、「日本では原材料の調達も大変だし生成工場もないから海外から輸入」では、

●メリット
・「地球に優しい」(二酸化炭素排出権の問題含む)
・燃料の調達源のリスク分散
●デメリット
・結局エネルギー源の安全保障上の問題解決にはあまり寄与していない
・わざわざ国外から輸入するのでは運送にかかるコストや燃料消費でエネルギーをムダに使っている点が問題


など、メリット以上にデメリットが挙げられてしまう。特に「地球に優しい燃料を運び込むために、地球に厳しいとされるタンカーを地球一周(行きと帰りで半周ずつ)もさせてしまう」のは大きな問題で、本末転倒に他ならない。

石油元売り各社では今後、最大のバイオエタノール生産国であり、同時にこの分野の先進国でもあるブラジルからの輸入も模索しているようだが、上記デメリットはブラジルからの輸入にしても存在しているし、そのブラジルですら最近は原材料のとうもろこしの高騰で輸出どころではない状態となっている。

デモンストレーションとして、あるいはバイオガソリンの流通環境整備のために輸入をするのならともかく、ずっとこのままの体制を続けているのでは、地球に優しいどころか地球とフトコロに厳しいというツッコミをされても仕方のないところ。

早急に政府や別企業サイドの方式(E3方式)との意見集約と企画の統一、日本国内での生産体制の確立が求められることは間違いない。さとうきびやとうもろこしが入手しにくいというのなら甘利経済産業大臣が当日コメントしたように廃材などの活用や、【海藻(かいそう)でバイオ燃料問題が一挙に解決!? 東京海洋大や三菱総合研究所などが計画】で報じたような海藻からの生成など、日本国内で生み出せるスタイルの早期構築に全力を尽くすべきであろう。

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