[更新]「元本部長の独断」「損失総額150億円、資産評価70億減、税金資産取崩30億円」「社長などは辞任」加ト吉が循環取引に関する報告書を発表

2007年04月24日 19:45

循環取引疑惑が取り沙汰されていた冷凍食品加工などの【加ト吉(2873)】は4月24日15時15分、4月19日に外部調査委員会から受けた報告書を元にした、今件に関する各種報告や人事異動などを発表した(【発表リリース、PDF】)。

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リリースによると加ト吉では監査法人から指摘を受けた1月10日以降調査を開始、3月20日には弁護士・公認会計士からなる外部調査委員会を設置。4月19日にはその委員会から調査報告書を受理し、その内容を受けて今回の報告書の開示となった。

報告書で明らかにされた今回の循環取引に関する概要は次の通り。

●循環取引について
・循環取引など「不適切な取引」5態様のうち3態様は、【カト吉で人事異動発令、例の常務が役職を解かれ平取締役に】でも報じられた元取締役常務執行役員・水産事業本部長高須稔氏の独断
・残り2態様のうち1つは加ト吉の子会社である加ト吉水産のゴム印と印鑑を偽造した書類が利用された(有印私文書偽造・同行使の罪で告訴すべきと外部調査委員会報告書では進言)
・最後の1態様は循環取引内に加ト吉・東京特販部が介在。仲介部分にいただけとし、加ト吉は「循環取引を認知した上での取引ではない」と釈明。
・よって高須稔氏以外に加ト吉の取締役、従業員が関与したとは認定できない。

●決算に与える影響について
・特別損失は約100億円(以前の発表では約75億円)。
・上記の特損とは別に回収不能な債権が50億円ほど。よって損失見込みは総額約150億円。
・財務諸表の訂正は逐次。
・その他に関連子会社で固定資産減などの評価減が約70億円、繰延税金資産の取崩を約30億円計上。

●人事異動について
・新代表取締役社長に金森哲治副社長が就任(【加ト吉(2873)、循環取引の責任を取り社長が辞任へ。公認にJT出身の金森副社長・各報道報じる】の報道の通り)。他に小林一夫取締役が専務取締役に。
・加藤義和代表取締役社長兼会長、加藤義清取締役副社長、高須稔取締役が取締役を退任。


今回発表されたリリースには、19日に外部調査委員会から加ト吉側に提出された報告書も添付されているが、それらの内容は直前まで読売新聞がスクープしていた内容とほぼ同一と見受けられる。

またリリースにもあるように、今回の循環取引の発覚とそれに伴う各会計の精査に伴い、過去の財務諸表を再計算した上で開示する必要があるとしている。今件でいきなり債務超過に陥ることはないだろうが、2006年3月期の同社売上高は3398億5000万円、経常利益は145億9700万円、純利益は65億9800万円という数字と見比べると、「見込み損失約150億円」「関連子会社で固定資産減などの評価減が約70億円、繰延税金資産の取崩を約30億円計上」などの影響は限りなく大きいと思われる。再計算後の財務諸表がどのような数字になるのか、予想がつかない。

なお今件に関して東京証券取引所では公開後2時間ほど経過した17時25分現在、同銘柄について監理ポストに移行するなどの処理は一切発表していない。


(最終更新:2013/08/21)

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