NHKの受信料義務化法案、今年度は見送り正式表明

2007年03月24日 19:30

時節イメージ日刊スポーツなどが報じているように菅義偉総務相は3月23日の閣議後の記者会見の中で、今国会に提出する放送法改正案にはNHK受信料の支払義務化は盛り込まない方針を正式に表明した。

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これまで定期的にお伝えしているように、NHKと【総務省】の間では、「NHK受信料支払の義務化」「NHKの経営努力のしるしである受信料の2割ほどの値下げ」の両方の争点で激しい論戦が交わされていた。しかし国会に法案を提出するタイムリミットを過ぎても、NHK側が当初の「受信料値下げについては『検討に』9月までかかる」との姿勢を崩さなかったため、結局今回総務省側は「義務化だけ先行することは国民の理解は得られない」と判断。今年度の法案化をあきらめることとなった。

注意しなければならないのは、総務省側が「受信料2割削減・法律で支払義務化」「2割削減可能の根拠のための試案提示」と具体的な話を行っているのに対し、NHK側では相変わらず「9月までに検討を重ね、『値下げできるかどうか』の判断を下したい」とし、値下げの是非ですら明らかにしていない点にある。

いざ9月になってみたら、改革そのものも進んでおらず、「やはり値下げはムリっぽい」ということにでもなれば、NHK(の上層部)がますます視聴者からそっぽを向かれることは必至だろう。

ことあるごとに(特に政府からの放送命令絡みで)「マスメディア」「視聴者、国民のため」と主張し反発を続けているとの話も伝えられているが、一体NHKはどちらを向いているのだろうか。

「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)
「住基ネットのデータは不必要。既存システムでやりくりしろ」(2月5日、総務省松田隆利事務次官)
(ここまでで「2割値下げと総務省は言うがその根拠を示せ」NHK側)
「2割値下げの根拠を4パターンに分けて提示した。今後さらに精査してつめていく」(2月5日、総務省)
「色々考察する必要があるので値下げができるかどうかの試算に9月までかかることは譲れない」(2月13日、NHK経営委員長)
「受信料義務化は必要だがNHKの改革とワンセット。今は全然改革が進んでいない。だから義務化には反対」(2月23日、総務省タスクチーム)
「受信料義務化のタイムリミットは3月13日。それまでにNHK側は誠意ある態度を示せ」(2月27日、菅総務相)
「(総務省がなんと言おうと)料金体系の抜本的見直しは9月末までかかる。それは譲れない」(2月27日、中川潤一理事・小林良介理事)
「放送法改正案とりまとめとNHKとの折衝役の課長を更迭」(2月28日、菅総務相・総務省)
「今年度の受信料義務化見送りも止む無し。試算にはどうしても9月までかかる」(3月1日、NHK橋本会長)
「NHKの対応は責任感がない。危機的事態を認識して一刻も早く改革すべき」(3月1日、総務省松田隆利事務次官)
「2割値下げを」→(ムリ、という回答に対し)「義務化した場合の値下げを経営計画に明記しろ」(3月2日、自民党通信・放送産業高度化小委員長の片山虎之助参院幹事長)
「(NHK側の拒否に対し)非常に残念なこと」(3月2日、菅総務相・総務省)
「私案まで考えて提示したのだからどうにかしろ」(3月13日、自民党通信・放送産業高度化小委員長の片山虎之助参院幹事長)
「片山氏の私案への返答も含め具体的にコメントできない、時間がほしい」(3月13日、NHK橋本会長)
「9月に値下げ案を提示するからそれまで待て」(これまでの主張の繰り返し)」(3月15日、NHK橋本会長)
「今年度の放送法改正案にはNHKの受信料義務化はもりこまない」(3月23日、菅総務相・総務省)←現在ここ


■関連記事:
【NHK会長「受信料値下げ案は9月提示に向けて作業」】


(最終更新:2013/08/22)

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