【更新】NHK会長「受信料値下げ案は9月提示に向けて作業」

2007年03月16日 08:00

時節イメージ[産経新聞]によるとNHKの受信料支払の義務化を巡ってNHKの橋本元一会長は3月15日の午前に自民党通信・放送産業高度化小委員長の片山虎之助参院幹事長と国会内で会談し、「今年の9月に具体的な受信料の値下げ案を提示する方向で作業を進める」と発言した。元記事では「打開策の提示」と解説している。

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今件はすでに期限も過ぎて今国会での法案可決が難しくなった放送法改正案の中に、NHKの受信料支払義務化明記を盛り込むのにあわせ、NHK自身に改革をうながし、受信料の2割ほどの値下げを【総務省】が要請していたもの。総務省側では具体的な改革案や値下げ根拠のための試案まで作ってNHK側に「2割値下げ」を要求していたものの、NHK側では「まとめると9月までかかる」を繰り返し、総務省の要請には聞く耳持たず状態だった。

元記事ではNHK側が「9月に具体的な受信料の値下げ案を提示する方向で作業を始める」という打開策を提示した、という表現で「NHK側が譲歩し妥協した」ニュアンスで報じているが、元々「9月に値下げ案を提示する、それまでかかる」という主張はもとからNHK側がしてきたことに他ならない。また「9月に値下げ案を提示する」という断定形ではなく「提示する方向で作業を始める」という「かもしれない」系の回答であり、むしろこれまでより後退したようにすら見受けられる。

片山氏も今回答には半ばあきれているようで、「話を聞く限りもっともな感じもするが、今できないことを、半年後に手のひらの返したようにできるのかという感じもある」と発言。3月19日の自民党通信・放送産業高度化小委員会で最終的な判断をする考えも示している。

「のらりくらり」という言葉がまさにマッチするNHK側の対応に、総務省も交渉役に政府与党の要人の出動を要請したり自ら試案を出してはいるが、いっこうに「聞く耳持たず」、というよりこれまでの主張を繰り返すばかりで一歩も引かず、あえて新しい提案のように言い直すなど、半ば総務省・政府自民党側をもてあそんだ上で唯我独尊的な姿勢を貫いているように見える。

これを「初志貫徹」と賞賛するべきなのか「結局ここは自ら改革するのはムリなのね」と溜息混じりで肩をすくめるべきなのかは各人の判断によるところだが、少なくとも「管轄官庁がもう少し権限を発揮してもよいのでは?」「本来視聴者の方を向くべきメディア・マスコミなのにどこを向いているの?」と思わせるようなものであることには違いない。

「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)
「住基ネットのデータは不必要。既存システムでやりくりしろ」(2月5日、総務省松田隆利事務次官)
(ここまでで「2割値下げと総務省は言うがその根拠を示せ」NHK側)
「2割値下げの根拠を4パターンに分けて提示した。今後さらに精査してつめていく」(2月5日、総務省)
「色々考察する必要があるので値下げができるかどうかの試算に9月までかかることは譲れない」(2月13日、NHK経営委員長)
「受信料義務化は必要だがNHKの改革とワンセット。今は全然改革が進んでいない。だから義務化には反対」(2月23日、総務省タスクチーム)
「受信料義務化のタイムリミットは3月13日。それまでにNHK側は誠意ある態度を示せ」(2月27日、菅総務相)
「(総務省がなんと言おうと)料金体系の抜本的見直しは9月末までかかる。それは譲れない」(2月27日、中川潤一理事・小林良介理事)
「放送法改正案とりまとめとNHKとの折衝役の課長を更迭」(2月28日、菅総務相・総務省)
「今年度の受信料義務化見送りも止む無し。試算にはどうしても9月までかかる」(3月1日、NHK橋本会長)
「NHKの対応は責任感がない。危機的事態を認識して一刻も早く改革すべき」(3月1日、総務省松田隆利事務次官)
「2割値下げを」→(ムリ、という回答に対し)「義務化した場合の値下げを経営計画に明記しろ」(3月2日、自民党通信・放送産業高度化小委員長の片山虎之助参院幹事長)
「(NHK側の拒否に対し)非常に残念なこと」(3月2日、菅総務相・総務省)
「私案まで考えて提示したのだからどうにかしろ」(3月13日、自民党通信・放送産業高度化小委員長の片山虎之助参院幹事長)
「片山氏の私案への返答も含め具体的にコメントできない、時間がほしい」(3月13日、NHK橋本会長)
「9月に値下げ案を提示するからそれまで待て」(これまでの主張の繰り返し)」(3月15日、NHK橋本会長)←現在ここ


(最終更新:2013/08/22)

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