ポイント制度のルール策定のための研究会初会合開催

2007年02月24日 07:00

カードイメージ家電や書籍を購入した際のポイントや、旅行をしたときの「マイレージ」ポイントなど、ポイントサービスが消費生活に浸透しているが、このポイントについて例えば「取り扱っている企業が経営破たんした場合、ポイントが使えなくなる」などの問題にどう対処するのか、企業間での統一ルールはいまだに存在していない。そこで消費者保護の観点から【経済産業省】では2月23日、企業ポイント研究会の第一回会合を開き、対応を協議した。

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ポイント制度といえば家電量販店の「3%5%10%は当たり前」のフレーズに代表されるように、商品の割引に加えて他社との差別化と顧客の囲い込みのメリットを見込んだシステムをはじめ、マイレージやネット上の割引ポイント、さらには旅行代理店や旅客会社のマイレージ、クレジットカードなど様々な分野に採用されている。先の「企業ポイント研究会」の開催告知リリースによると、日本国内の企業ポイントの年間発行額は(全体像が把握しにくいため推測でしかないが)4500億円から最大1兆円と推計され、経済に与える影響が無視できない状況にある。「同じ店・サービスを使うように消費行動を誘導される」「大きな買い物をするとそれに応じて大量のポイントがたまるので得した気分になれる(だから大きな買い物をしたくなる)」というのが、顧客・企業双方のメリット。


カードイメージさらにこれまでは「個別企業と顧客間同士のやりとり」でしかなかったポイントも、その市場規模だけでなく最近では「企業をまたいだ利用」やさらには「電子マネーとの交換」も可能となり、柔軟性や兌換性も持つようになり、影響力は無視できなくなってきた。

しかし制度の広がりと共に課題も増えてきた。運営している会社が経営破たんし、ポイントが利用できなくなるという事態も実際に起きるようになった。現行法ではこの「ポイントの利用機会喪失」に対する法的援助は無い。

また、ポイント制度の拡大は企業側にも大きな負担をもたらすようになった。現金と違いポイントは(発行時には)手持ちの資産を消費する必要がないこともあり、大盤振る舞い的に発行しがち。しかし実際にはある程度の使わずに放置される「埋もれたポイント」などをのぞけば商品などと交換されるため、そのポイントが経営を圧迫するようになった。また、提携関係が拡大することで、せっかく自社への顧客囲い込みのために発行したポイントが、ライバル企業に移行してしまうことも増えてきたのだ。

今件についてNHKでも報道していたが、その番組で取材に応じた野村総合研究所の安岡寛道・上級コンサルタントは

ポイントも「通貨」的な形になっているので、企業側としても「ポイントをこのまま出し続けてよいのか」、消費者側も「このまま持っていて良いのか」と不安に駆られないためにも、ポイントシステムに関して整理を行い、解決策を考えていくことが必要である。


と言及している。

23日に開催された「第一回企業ポイント研究会」では【クレディセゾン(8253)】【オーエムシーカード(8258)】、JCBなど大手カード会社や【千趣会(8165)】などポイントを発行している通販会社、【ヤマダ電機(9831)】【ローソン(2651)】【イオン(8267)】【NTTドコモ(9437)】などポイントシステムを採用している大手小売企業やサービス業社、【ヤフー(4689)】【DNA(2432)】などのネットを主事業としてポイントにも深いかかわりのある企業、さらには國領二郎・慶應義塾大学総合政策学部教授や須藤 修・東京大学大学院情報学科教授、森田博行・独立行政法人中小企業基盤整備機構など関連する学術研究者などが参加し、ポイント制度を利用する消費者を保護するためには、どのようなルールが必要になるのかという点について議論をはじめた。

出席者からは「法整備が整っていないのでガイドラインを作る必要がある。これを作成し協調していきたい」「制度の策定はポイント制度そのものの信用を高める意味もあるし、不正利用者への対策にもつながる」など肯定的な意見がでる一方、「ポイントの多様性をどうまとめていくのか、それをまとめるのが難しい」という意見も出た。研究会では6月をめどに、ルールの骨子をまとめる予定だという。

今回の研究会ではあくまでも「商品やサービスを利用した時に獲得できるポイント」に限定されているが、デジタルデータ上の擬似通貨という点ではゲームをはじめとしたネット上のポイント(兌換性をある程度持つものに限る)とも密接な関係にあるともいえる。今研究会の骨子内容を元に、こちらの方面でも論議が始まるだろうし、あるいはこの研究会の中でも話題に登るかもしれない。

消費者保護や税金の面など、法的整備が十分でないがため、色々な問題が発生しているポイント制度。今後の安全で安心できる利用のためにも、研究会には有意義な会合を行い、価値ある結論を出してほしいものだ。


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