株主優待制度充実へ・過去最高、買収防衛の側面も

2006年12月29日 08:10

【Mainichi INTERACTIVE】が伝えるところによると、株主に対して企業が自社商品などの「贈り物」を送付する「株主優待」制度を導入している上場企業が、2006年9月現在で1008社と過去最高を記録し、10年間では2.6倍に増えたことが、【大和証券(8601)】の投資情報会社【大和インベスター・リレーションズ(IR)】のまとめで明らかになった。この数は上場企業の全体の26.1%に相当する。単に株主に対してというだけでなく、長期保有の株主には優待を上乗せする企業も増えてきており、「個人投資家に長期保有してもらい、敵対的買収から身を守る効果を期待している」とのこと。

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今件は大和IRのサイトで公開している【IRの話題】でも詳しく述べられているが、例えば【カゴメ(2811)】が5年間で個人株主を212倍・13万7895人に増やしたなど、優待をトリガーにして個人株主が増加した企業は多い。カゴメでは個人株主が大半で、売買最小単位の100株の保有者が全体の74%・約10万人をしめるという。これは2001年に単元を1000株から100株に引き下げ、株主優待をはじめたことが大きい。

また、「個人株主数を4年間で4倍に増やす」という政策を打ち出した【ホリプロ(9667)】が、総会後の懇談会に新人タレントを起用したり、タレントのプリペイドカードを配る優待を実施するという例も紹介。いわく「株主のファン化を狙う」とのこと。

具体例は元記事にもあり、最近の『株主優待・単元変更速報』を編集する時にも気になってはいたが、最近優待の新設や変更の中で、「長期保有の株主には優待を上乗せする」というパターンが増えてきている。例えば【リコーリース(8566)】では、

100株以上で
「保有継続期間1年未満」で3000円相当
「1年以上」で4000円相当
「3年以上」で5000円相当
の図書カードからクオカードを年一回。


という仕組み。3年以上のホルダーと1年未満のとでは、倍近い差が開く。

優待制度を導入する企業が増え、さらに長期保有者を優遇する制度改定が進められている背景には、外資系投資ファンドを中心に、敵対的な買収を仕掛ける動きが目立ってきたこともある。来年2007年には「三角合併」(簡単にまとめると、親会社の株式を合併相手の会社の株主に渡す合併方式。現金を使わずして、関連会社経由で外資が日本の企業を買収できることになる)が解禁され、外国企業による日本企業の合併や買収が増える可能性が高い。

それらの買収からの防衛策として、株主優待で個人投資家のハートをがっちりとキャッチするというやり方は、今後ますます増加しそうである。


■関連記事:
【企業買収防衛と株主優待との素敵な関係】
【なぜ株主優待が嬉しいのか】


(最終更新:2013/08/23)

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