総務省、近未来通信社の通信事業の実態なしと発表、IP電話事業の売上は1.7%

2006年12月01日 06:30

近未来通信のIP電話イメージIP電話事業に投資することで高配当が得られるとのうたい文句で多額の資金を集めていた近未来通信(近未來通信)の問題で【総務省】は11月30日、先日行われた立ち入り調査などによる実態調査結果を正式に発表した(【株式会社近未來通信に対する報告徴収及び立入検査の結果等の公表】)。それによると、近未来通信社は通信事業の実態がほとんどなく、投資家にうその説明で資金集めをしていたことが裏付けられることになった。

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リリースによると、2005年7月期における近未来通信の「電気通信事業(IP電話)における事業収入」は全売上高181億4328万8796円中3億110万8256円(1.66%)であり、従来同社から語られてきた「IP電話で会社が回っている」という話がいつわりであったことが実証された。また、固定電話の契約者数も2005年7月末段階で587人、テレビ電話機は3337人に過ぎないことが判明した。

近未来通信社から総務省に報告されていた中継局のサーバは112か所・2466台ではあるが、実働しているのは7か所・7台に過ぎないことも明らかになった。電話サービスについてはこのシステムとは別のシステム(総務省への報告書では記載が無い)によっても提供されていることが確認されており、これは「見た目が中継局のようなものを多数置いているが、実際に中継局の役割は別のところに丸投げ」の可能性を示唆している。

近未来通信社は先に報じているように、IP電話の中継局の設置費用1000万円強を投資家に負担してもらい、その中継局経由で行われる通話の料金の一部が配当として支払われるようになるという「中継局オーナー制度」を導入し、多数の投資家から資金を集めていた。「契約者がたくさんいるからすぐに配当で投資額は回収できますよ」という触れ込みだったが、実際には

「新規投資家の資金を別の投資家の配当にまわす『自転車操業』」


であることが今回実証されたことになる。

近未来通信社に対しては今月にも弁護士団が結成されて破産勧告・手続きを行い資産を押さえ、少しでも被害者に向けて「回収」を行う動きも起きている。以前から何かと問題を指摘されていた近未来通信社も、この半月で急速に事態が動いたが、ふたを開けてみれば噂の通り、「まただまされたか」的な結果だったことが明らかになった。

今後関係各機関のさらなる調査と共に、救済の手立てを推し進めてほしいものである。


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(最終更新:2013/08/24)

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