日興コーディアルグループ(8603)の不適正決算問題、全面的に認め、監理ポストへ

2006年12月19日 08:45

株式イメージ先に【「日興が不適切な利益計上、課徴金も視野」日経報ず】などで報じたように、【日興コーディアルグループ(8603)】の子会社・孫会社とデリバティブ取引を用いた決算書虚偽記載が行われた件について同社は12月18日記者会見を開き、今件が事実であることを認め、決算書の訂正を行うとともに処分を実施することなどを発表した。

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今件は先の記事に詳細がある通り、日興の子会社と孫会社の間で相対取引を行い、利益が上がった子会社のみを連結対象とし、グループ企業としての利益を水増し。その決算結果を2004年に実施された500億円の社債発行の際の提出書類に記したという、虚偽記載を行ったもの。

記者会見では今件を事実であると認めた上で、2005年3月期決算の経常利益を777億円から588億円に減額するなど、一昨年以降の該当会計書類を訂正することになった。また、社長をはじめ役員の報酬カットも実施。【証券取引等監視委員会】【金融庁】に出した【勧告】の中で、社債発行額の1%に相当する5億円の課徴金支払いについては、責任を明確化する意味で該当役員らの分担による「自腹」で支払うことを明らかにしている。

またこれにあわせ【東京証券取引所】では日興コーディアルグループ銘柄を即日監理ポストに移行、今後日興側から提出される訂正決算書の内容を精査し、上場廃止に該当するかどうかを判断するという。なお証券会社の監理ポスト行きは、合併などの場合を除くと1997年に破綻した山一證券以来のこと。虚偽記載を理由にした場合は前例がないという。さらに日経225採用銘柄の監理ポスト行きは、先のカネボウ以来となる。【日本テレビ放送網(9404)】のように監理ポストになりながら、上場廃止とならなかった例もあるだけに、同銘柄が上場廃止になるかどうかはまだ未知数といえる。

【マネックス証券(8698)】は今件について、保証金代用有価証券の掛け目を現行の80%から0%に、12月25日以降引き下げることを発表した(【発表リリース】)。

今件については、先の記事にもあるように昨年末の段階で日経新聞がつかんでいたことはすでに述べたが、また夕刊フジも2月の段階で報じていることが明らかになった。日興側はこれに対して「監査法人の指導に基づいて公正妥当と認められる会計基準にのっとり作成したものであり、粉飾ではない」とし、謝罪広告などを求める訴訟を提起している(【発表リリース】)。

さらに今件では、日興側が「子会社の平社員によって改ざんされた」と主張しているのに対し、証券取引等監視委員会では「一担当の話ではなく、それ相応の立場の人物が関与している」という見方を示しているとの報道もあり、主張の食い違いが見受けられる。

元々今回の問題視されている決算では、日経や夕刊フジの指摘記事に対しては【リリース(PDF)】にもあるように、中央青山監査法人(当時)も「この決算で問題ない」というお墨付きをもらっているとして反論している。つまり今件は、監査法人が何らかの形で関与していたか、あるいは問題性を指摘できなかったかということにもなる。一人の平社員が勝手に行った、という話では通りにくいだろう。

「株式市場の公明正大さを率先しなければならないはずの証券会社による、決算書偽装」という問題であるだけに、今後日興の上場廃止の是非もあわせ、訂正決算書類の内容や関係各所の対応など、動向を注意深く見守りたいところだ。


(最終更新:2013/08/23)

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