損保6社の第三分野の保険金不払い、12億円に及ぶ

2006年11月01日 06:30

株式イメージ【ブルームバーグ】などが報じているように、大手損害保険会社各社は自動車保険などへの付随的な保険につづき、医療保険やがん保険など、俗にいう「第三分野」の保険でも発生している保険金不払い問題について、それぞれ【金融庁】が要請していた再調査の結果を締め切りである本日10月31日に公表した。その結果、大手6社の第三分野商品の不払い件数は4365件、金額は12億2300万円にのぼることがあきらかになった。

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保険は大きく三つの分野に分けられる。被保険者が亡くなった時に保険金が支払われるのが第一分野。物品の損害に対するものが第二分野。第三分野はそのどちらも属さない、がん保険、医療保険(けがや病気)、介護保険などが該当する。

損保各社では第三分野の商品について2001年7月から2006年6月までの過去5年間のデータについて、保険金支払いの対象外としていた契約を調査。結果として次のような不払い総数と金額が判明した。

東京海上日動……805件/2億7000万円
【損保ジャパン(8755)】……975件/2億7000万円
【三井住友海上(8752)】……1140件/2億8400万円
【あいおい損保(8761)】……470件/1億4600万円
【日本興亜損保(8754)】……833件/2億1500万円
【ニッセイ同和(8759)】……142件/3800万円
※順に総数/金額


今件はNHKなどでも報じられており、そこでのインタビュー映像では「許せない」「詐欺みたい」「信頼できない。どの保険に入ったらいいのか分からない」などのコメントが寄せられていた。

また、不払いの具体的なパターンとしては

・肺がんにかかって保険金を請求したところ、過去にその被保険者が胃かいようにかかっていたとして、それを報告しなかったのは告知義務違反に該当すると判断。保険金を支払わなかった。この場合、肺がんと胃かいようの間に関連性は認められず、保険金は支払われるべき。

・糖尿病の患者に対して「保険に入る前から糖尿病だったから不払い」とし保険金が支払われなかった。この場合、医師の判断で時期の特定が必要だが、保健の担当者は手続きを怠っていた。

・保険会社の担当者が契約を獲得するため、「過去にかかった病気を正直にいうと保険に入れなくなる」と説明して加入させ、いざ病気になると告知義務違反を指摘され保険金が支払われなかった。


などがある。すでに【金融庁、保険金不払い問題で損保26社に対して業務改善命令】などでも報じているように、損害保険では付随保険金に関する支払い漏れが多発、損保各社は業務改善命令の行政処分を受けている。そして今回は医療保険などの分野でも支払い漏れ・不払いが相次いだことで、金融庁から同様の「お達し」があることは容易に想像がつく。

医療保険や介護保険、がん保険など第三分野の保険は保険会社にとって新たな開拓エリアであり、成長分野でもある。それだけに各社はさまざまな特約を設けたり営業に力を注いできた。しかし今回、損害保険だけでなく医療保険でも不払い問題が多発していたことが判明し、実体として社員などの研修が不十分だったり、保険金の支払い基準があいまいだった、大手(上場)企業としては「あってはならない」レベルの標準が少なからず存在したことが判明した。

顧客のニーズに応えるのはもちろんだが、今後はこれまで以上にそれ以上に顧客に対する説明や内容について、綿密でかつスマートな分かりやすさが求められるのだろう。


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