「肉食から魚食」「油摂取をひかえる」などの和食化で大腸ポリープの発生率2~3割減少

2006年09月30日 07:30

【Mainichi INTERACTIVE】によると、肉食をひかえて魚食にし、植物性の摂取量を減らすなど、旧来の和食を食べるよう指導を受けた人は従来の食生活を続けている人に比べると、大腸ポリープの発生率が2~3割ほど減ることが、名古屋市立大の徳留信寛(とくどめしんかん)教授(公衆衛生学)らの研究で明らかになった。ただしこの効果は即効性があるものではないため、教授は「継続した取り組みが大切」と訴えている。

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この研究成果は神奈川県横浜市で開催中の【日本がん学会】で9月28日に発表されたもの。教授らは長期間における調査結果の末、統計データから上記のような結論を導き出した。

具体的には1996年から2004年までに、大腸ポリープを切除された50代から70代までの男女206人をランダムに2分。片方のグループ104人には「肉はなるべく魚に替える」「てんぷらなどの揚げ物をひかえる」などの指導を三か月おきに繰り返した。一方で残りの102人には「食事の脂肪を減らすように」という一般的な指導にとどめた。

その指導をはじめてから2年後、検査を行うと

・一般的指導のグループ……36%(27/74)でポリープ再発
・「和食を食べろ」との指導を受けたグループ……29%(26/91)でポリープ再発


との結果が出たという。検査を受けなかった人(それぞれのグループが102人・104人だったのに対し2年後に検査を受けたのが74人・91人だったのは、検査を受けない人もいたため)も含めて推計すると、魚食などの和食でポリープが2~3割減らせたとの結論が出た。

その他、発生したポリープの検査を行ったところ「一般的指導の方が悪性度が高く、がんに進展しつつあるポリープの割合が高かった」との結果も出ている。ただし1年後の段階ではポリープの割合に差がなかった。

大腸がんの主要因はポリープの進展。そのため教授らは「適度な運動と食事改善で、大腸がんを半減できるのではないか」と推測しているという。

研究論文が公開されていないので精査はできないが、年単位での検査が必要なことや同時期に大腸ポリープを発していた人を一定数集めねばならない条件の難しさという問題はあれ、一度きりで比較的少数による統計データであり、いきなり結論に到達するには少々あやふやなものがある。あくまでも「推論」の域を出るものではない。

とはいえ、【大腸がん(GarbageYuken.com)】にもあるように、大腸がんの大きな要因は食生活によるものが大きいという説はすでに医学会では定説となっている。いわく、「食生活の急速な欧米化、特に動物性脂肪、たんぱく質の過度の摂取が大腸をびっくりさせ、それが大腸がんの原因になっているのではないかという説が濃厚です。最近になって大腸がんの発生率が増加しているのも、食生活の変化と連動しているからこそ」である。

今回の検証は、「食生活の欧米化」、特に「肉食化・油分摂取量の増加」が大腸がんのリスクに大きな影響を与える可能性が高いというこれまでの推論の確証度を高めるものとなったことだけは間違いない。その意味では非常に有意義なものだし、今後さらなる検証に期待がかかるといえよう。

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