金融庁、損保各社に不払い徹底調査の再要請

2006年08月12日 12:30

株式イメージ【NIKKEI NeT】によると【金融庁】は8月11日、損害保険(損保)会社各社に対して過去の保険金不払いについて見落としがなかったかどうかの社内調査を徹底するよう、各担当者を金融庁に呼び、口頭で求めた。口頭とはいえ呼び出しで再調査を求める金融庁の姿勢は異例ともいえ、それだけ損保で続々明らかになった不払い問題が深刻であることをうかがわせる。

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記事によると今回の口頭指示は保険業法に基づくものではないが、9月末までに調査結果を提出することとされている。対象は自動車保険やその特約など、業界が取扱う一般的な商品のもよう。【三井住友海上火災保険(8752)】で大きくクローズアップされた医療保険分野では、すでに7月の段階で保険業法に基づく支払い漏れ調査指示が各社に出されている。

損保分野では2005年11月に損保26社に行政処分が下り(【参照:金融庁、保険金不払い問題で損保26社に対して業務改善命令】)、不払い案件をチェックする体制作りが求められたばかり。しかしその後も【金融庁、三井住友海上火災(8752)に異例の厳しい業務停止命令】などにもあるように大手での不払い事件が止まらず、再点検が必要と判断したもようだ。

規制が緩和され外資系の保険会社が次々に参入し、さらに公的医療保険が削減される状況で、保険の競争は激しさを増している。業界各社が躍起になって顧客獲得競争に励むのは良いことに他ならない。サービスも充実し、選択肢も増えるからだ。

しかし「顧客獲得」と「保険金支払い」が別の時間軸にあるため、「お客獲得の際には調子の良い事を言って、いざ支払いの段階になると態度をひるがえして支払いを渋る」という、保険業そのものの信頼性を損ないかねない事態、つまり今回問題視されている「不払い問題」が多発する状況に陥っている。

今回の行政側の度重なる指導を受け、業界側でも猛省し態度を改めれば、特に損保分野において利用者も納得の行く、健全な状態に一歩近づくのは間違いない。本来なら業界が自主的にそういう方向に進まねばならないことを考えと多少情けない話ではあるが、過程が多少異なろうが結果が正しい方向に進むのなら、それはそれで良しとするべきだろう。

ともあれ今回口頭で調査依頼を受けた損保各社は9月末までに結果を提出し、上場企業ならばその前後にIRなどで一般公開もするはず。まずは調査結果がどのような形になるのか、待つことにしよう。

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