大型企業買収の4割でインサイダー取引の疑いあり

2006年08月27日 19:00

【New York Times(英語、要登録)】が8月27日に報じたところによると、過去1年間における大型企業買収案件のうち、インサイダー取引の疑いがある不審な株価変動が見られたのは全体の4割に登ることが明らかになった。同紙では「Illicit trading ahead of deal announcements is becoming a systemic problem.(インサイダー取引が制度上の問題になりつつある)」と警告を発している。

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今件調査はカナダの調査会社【Measuredmarkets Inc.】へ依頼されて実施されたもの。2006年7月前半までの1年間に行われた、10億ドル(約1160億円)以上の合併買収案件90件について過去4年間の株価動向と共に調査したところ、そのうち37件について買収の発表直前に株価の異常な動きが確認された。

MeasuredmarketsのChristopher K. Thomas氏はこの株価の通常ならざる動きについて「インサイダー取引によるものだろう」という結論に達したと述べている。そして氏は、同一セクターの何らかの事件や発表、証券会社の格付け変更など株価を動かす要因は山のように存在するが、今回「おかしい」と判断された37件について、それら「合併買収に関する事前情報がインサイダー情報として漏れている」と結論付ける以外の動きは何ら見つけられなかったとしている(いわゆる「消去法」による結論)。

実際これらの「怪しい」案件については、買収関係で幹部同士が話し合い株式購入価格を引き上げたり、合併条件に同意することが発表される数日(一週間以内)に急激に出来高が増えている。そして「合併買収に関するポジティブな情報」が発表されたあと、対象となった株式の株価は数%から十数%の上昇を見せている。中には直前に、通常の4倍もの出来高を見せた銘柄もあったという。

証券取引等監視委員会(SEC)では、大型買収合併が進むにつれ、インサイダー取引が増加するであろうという意見に同意している。イギリスにおいては監視委員会はインサイダー取引において、個人取引における不法行為よりも、証券会社や機関投資家らに対する監視を強化することを明らかにしている。そして記事ではアメリカでは逆に、個人に対する監視注力が重視されており、その結果インサイダー取引(と疑われるような動き)が増加したと指摘している。

あからさまなインサイダー取引が横行することにより、正当な資本主義的市場がないがしろにされるだけでなく、多くの個人投資家が損失を被り、その不誠実さから市場への不信感を高め、市場離れが加速するのではないかという懸念が持ち上がっている。

さて日本ではどうかというと、何度か報じているように(下記関連記事などを参照のこと)、「これは明らかにおかしいだろう」「たまたま偶然に偶然が重なったにしても、確率論的にほとんどありえない」「未来予知能力を持つ機関投資家でもいるのだろう」的な値動き・出来高を見せる株価動向が、特に新興市場銘柄で相次いでいる。

実際それらのうちいくつかは規模の大小に関わらず「インサイダー取引である」ことが発覚し、メディアを騒がせている。が、それらはあくまでも氷山の一角に過ぎない。「調査したけど問題はありませんでしたよ」と結論付けるところもあるが、「ならばこの値動きはどうしてなのかと説明できますか」の問いには答えられないパターンばかり。

完全にインサイダー取引を無くすことは正直不可能。だが関係各局には少しでもそれを減らす努力を惜しまないよう、望みたいところだ。少なくとも昔と違って今現在は、ネットが普及し各種データも容易に参照できるようになり、「値動き・出来高の不自然さ」を監視する人間は山ほどいるのだから。


■関連記事:
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(最終更新:2013/08/26)

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