【更新】「企業側は雇用には消極的」「就職クラブで目指せ正社員」「発達障害の疑い」、ニート・フリーター関連3ニュース

2006年08月24日 12:40

時節イメージNEET(ニート、Not in Employment, Education or Training)とは直訳すると「就業、就学、 職業訓練のいずれもしていない人」のことを指し、今の日本では「引きこもり、学業や就業していない若者」「社会的要因や各々の事情によって生じた、ニート的状況にある人」たちのことを表現する言葉として通用している。いわば「ニート症候群」とでも表現すべきもの。また、フリーターとは言葉通り(意図的に)定職につかない人たちそのニート関連のニュースが今日3つ立て続けに入ってきたので、簡単にまとめてみる。

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●[フリーターの採用、企業は消極的(NHK)]

景気回復傾向で企業の人手不足感は強まっているものの、定職についていない「フリーター」の採用には大手企業の多くが消極的であることが【日本経団連】の調査で明らかに。「フリーターを正社員として採用するかどうか」の問い対し回答した556社のデータによると、

・積極的に採用したい……1%あまり(9社)
・学校を卒業後、一定期間内という条件ならば積極的に採用したい……約8%
・採用しない……約24%
・採用には消極的だが、経験・能力次第では採用したい……64%


となり、消極的な企業が全体の9割。新規・中途に関わらず、能力や資質を見極めて採用する傾向が強まっているとのこと。フリーターがこの状況なのだから、ニートに属する人たちが一心発起して求職しても、状況は非常に厳しいことがうかがえる。


●[年長フリーター対策として就職クラブで正社員を目指すよう厚生労働省が働きかけ(asahi.com)]

25歳以上になっても定職についていない「年長フリーター」向けの新たな就職対策として、10人程度で一つのグループを作って3か月で正社員を目指す「就職クラブ」を2007年度から都市部のハローワークではじめることを【厚生労働省】が決定。孤立しがちな年長フリーターに部活動のような集団を結成し、顧問役となる相談員の指導を受けながら、意見交換や自己分析をした上で就職を目指すという。同じような境遇にある求職者同士が刺激しあうことで相乗効果を狙う。次期総理候補の安倍晋三氏の政策方針の一つ「再チャレンジの出来る社会作り」を意識している面もある。


●[ニートに発達障害の疑いありとして厚生労働省が就労支援の内容を見直す考え(YOMIURI ONLINE)]

ニートの一部に「発達障害」の疑いのある人が含まれていることが厚生労働省の調査で判明したため、同省では実態のさらなる調査を進めると共に、支援機関に心理などの専門職を配置するなどしてきめ細かい支援のあり方を検討する。

今回の調査では対象となった「ニート」のうち23.2%に発達障害、あるいはその疑いがあることが分かった。具体的にはコミュニケーションが苦手だったりなど症状はさまざまだが、具体的に、「人との距離感が分からず、顔を必要以上に近づける」「その場の空気が読めず、じっとしている」「口頭の作業指示では理解できず、実演が必要」など、コミュニケーションの問題以外にも発達障害特有の行動も確認されたという。

さらに発達障害のある人は集団行動を嫌う場合が多く、ニート支援施設を利用しない傾向があるため、この23.2%という数字は実際にはこれ以上に高くなる可能性もある。単なるニートと、発達障害を原因とするニートでは対応も違ってくるため、今現在の公的機関などによる対応ではかえって逆効果を導く場合もあるという。


厚生労働省の調べでは2004年の段階でニートは64万人、フリーターは213万人存在する。また、【総務省】のまとめでは2005年の若年フリーター(15~34歳)は201万人で前年より13万人減っているが、25~34歳がほぼ半数を占めるなど、フリーターの高齢化が進んでいる。さらにニートの定義は年齢的には15歳から34歳なため、今後35歳以上の「熟年ニート」が増加する可能性が高いことを考えると、事態は今後深刻化する可能性もある。経済的自立が困難で非婚率も高く、生産性が低いニートやフリーターが増えれば、社会保障の担い手が減る危機も想定される。

さまざまな分析を行い、それぞれの状況に応じた手を打つ事が何よりも大事。また、「どうしてフリーターやニートが多数生み出されることになったのか」という原因を突き止め、それを解決していかなければ事態は改善しない。「現状の改善と対処」「原因の追究」「増加防止・減少への道を切り開くための対策」という、包括的な観点でフリーター・ニートへの対処を行う必要があるだろう。


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【「ニート」や「フリーター」の厳しい現実を見据え、小学校でも予防授業】

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