「子孫」は「こまご」「誓約」を「けいやく」……小中学校の学力調査結果が発表

2006年07月15日 18:00

読みガナ間違いイメージ【文部科学省】下の【国立教育政策研究所】は7月15日、全国の小学4年生から中学3年生を対象にした国語と算数・数学に関する学力調査結果を発表した(【発表ページ】)。国語、算数(数学)それぞれの科目について、今後解決しなければならない多くの問題点が浮き彫りとされている。

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国語では2年間で漢字に対する正解率が高まっており、「2年間で定着を図る」という指導方針の成果が見受けられる。その一方、使用頻度が低いものやあまり一般的でないものは定着が十分でない、字の形や意味の類似などによる誤答が多く見られるという。例えば「往復」を「住復」・「専門」を「専問」と書いたり、「子孫」を「こまご」・「誓約」を「契約」・「挙手」を「けんしゅ」と読むなどが例としてあげられる。

また、物事を筋道立てて考えるという「論理的な思考」が不得意とする傾向も出ており、「ゆとり教育世代」の苦手分野が浮かび上がった。特に国語の長文問題については、考えが色々出てくるもののそれらを順序良く論理立てて構成し一つの文章にまとめあげ、総合的な意見として仕上げるという、構成力が不足している問題が見受けられる。また、問いの文章の意図をよく理解せずに回答のみを連呼したり、自分の意見を語る意思表示力の欠如も顕著だという。

これについて[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]では宮川俊彦・国語作文教育研究所所長の話として、「主張自体がないから、説得するための論理を組み立てられなくなる。自分で判断、表現させる環境も整備されていない」と指摘している。

算数の正解率イメージテレビのニュース報道でも何度か報じられているが今回の調査結果では算数の分野でも驚くべき結果が出ている。「3+2×4」のような足し算と掛け算が混ざった四則計算について、小4では73.6%あった正解率が小6では58.1%に低下している。「白のテープの0.6倍が赤いテープで、赤いテープは210センチ」という条件から、白いテープの長さを求める問題では、小6の24%しか正解者がいなかったという。

その他算数・数学では、文面から具体的で正しい数式を導き出しそれを元に回答を得るという考え方になれていない、また、計算ドリルの傾向から3項以上の計算が苦手な子どもが多いなどの結果が出ている。

他にも、今件データには文章を書く事が好きだ・どちらかといえば好きだと思う人が中学生になると3割程度しかいないことなど、現在の教育に対する問題点が数多く提示された研究結果が含まれている。

かつて校内暴力の激化への対策の一つとして採られた「ゆとり教育」が、結局学力低下と勉学への興味が薄らいでしまうという悪影響を及ぼしたに過ぎないことが声高に叫ばれている。今回の調査結果もそれを裏付ける一つの資料となるだろう。

誤字脱字は誰にでもあるが、それは直していけばいいだけの話。一方勉強へのモチベーションの低下はより大きな問題に他ならない。つまらないと思っていては効率も悪く、時間の無駄。教える側ももっと色々勉強し工夫すべきなのかもしれない。


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