【更新】日銀総裁福井氏、村上ファンドに設立時1000万円提供

2006年06月13日 19:30

株式イメージ[YOMIURI ONLINE]などによると日本銀行現総裁である福井俊彦総裁は6月13日、参院財政金融委員会に参考人として出席、証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された村上世彰氏がファンドを設立する際に、個人として1000万円を運用委託金として提供したことを明らかにした。今件についてはすでに数か月前に解約を申し入れて、契約条項にのっとり、今年の6月末で清算されるという。

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福井総裁の説明によれば村上氏と福井氏との関係は、福井氏が1998年に富士通総研の理事長に就任した直後、そこに出入りしていた村上氏と知り合ったのがきっかけという。また、村上ファンドへの委託金の提供については「お金を集める自信がないと言うので、富士通総研の有志数人で、サラリーマンとしては負担感の重い1人1000万円を拠出した。彼の当初の志を激励、サポートする意味だった」「通商産業省(現経済産業省)の職をなげうって先頭を切り開く仕事をすることはたいへん評価することだと私も感じた」と説明している。

なお1000万円の運用益については、儲けた分をすべて投資しているので帳簿上の利益は出ている、税務的にも申告している、とし、具体的な額は明らかにしなかった。

今件について与謝野金融・経済財政担当大臣は「民間人として応募したので問題ない。総裁就任後も継続していることについて不適切な理由が見当たらない。日銀内部の服務ルールには違反していないだろう」とし、さらに「国会議員や閣僚とは違うので資産公開が適切かどうかについては今後の課題だ」として現状では疑惑絡みで公開を促がすことについて否定的な姿勢を見せた。

村上ファンドは設立時とはいえ、数千万後半から億単位でないと、投資金を預かってもらえなかったはず。昨今では10億前後以上でないと受け入れないという発言もあったほど。わずか1人頭1000万円で許諾されたということは、その立場を利用した(例えば「あの福井氏も投資しているんですから」と村上ファンド側が他の大手からの資金提供を受ける際の宣伝に使う)か、それ以外の何らかの関係があったと思われても仕方の無いところ。

ましてや、福井氏が日銀総裁に就任したのは2003年3月。その前後に解約したのならともかく、解約手続をとったのは「数か月前」と発言している。つまりそれまでの間は、選挙によって選ばれた国民の代表でないにしても※、公定歩合の決定をはじめとした日本経済しいては世界経済、特に金融市場に対して強い影響力を持つ力を持つ人物が、金融市場で投資を行い利益を得て顧客にその利益を与える村上ファンドのような投資機関に投資を行い、利益を追求していたことになる。問題が無いと断じるのは難しいかもしれない。

また、「解約手続をとった」とされる「数か月前」だが、具体的にどの時点かが明言されておらず材料に乏しいところがあるが、今件絡みで「数か月前」というと、【村上ファンド、突然の国内廃業。シンガポールに拠点を移し日本の規制の対象外に】にもあるように【オリックス(8591)】が村上ファンド側から提携解消の申し出を受けたのが「数か月前」と表現できる4か月前の今年2月、ライブドアグループに強制捜査のメスが入ったのが5か月前の今年1月。関連性はまったくないかもしれないしあるかもしれない(その後、解約手続は今年の2月だということが明らかになった。関連性の疑いが濃くなったことは否定できまい)。

ともあれ、ライブドア事件や村上ファンド事件を含め、一連(?)の話について、今後の捜査当局の調査に期待したい。よもや「胴元までもが一枚絡んでいかさま」などということにでもなれば、お話にならないどころではないだろうし、そんなことはないと願っているのだが。

※日銀は【日本銀行(8301)】として上場している。が、他の上場企業と異なり、市場で購入した株主でも経営に参加できないなどの制限がある。株式の過半数は政府が出資しており、分かりやすく表現すると「国の子会社」である。また、総裁をはじめとした役員は株主総会ではなく、衆参両議院の同意を得て内閣が任命する。この意味では総裁も「間接的ながら」国民によって選ばれた、と解釈することもできよう。

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