フクビ化学工業(7871)、架空取引の金額的内容発表、累計連結で売上高178億9100万円、粗利益5億6500万円

2006年04月22日 19:05

【フクビ化学工業(7871)】は4月21日と22日、先に【フクビ化学(7871)で大型架空取引発覚、昨年度だけで売上80億円・粗利益3億円】で報じた、連結子会社【八木熊】における架空取引に関する売上と粗利益を発表すると共に、各種報告書や短信の訂正を行った(【業績予想の修正に関するお知らせ】、PDF)。架空取引における該当売上高累計は178億9100万円、同粗利益は5億6500万円であることも判明した。

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架空売上を考慮して正しい数値の元に業績予想を再計算したところ、フクビ化学工業における2006年3月期における前期比の通期業績予想は、単独で「売上高↓、経常利益↑、純利益↑」、連結で「売上高↓、経常利益↑、純利益↑」となった。売上高が前期比マイナスになっているのは発表にもあるとおり、架空売上を取り消した影響が大きい。一方、収益構造の改善などで経常利益・純利益は共に前年度比でプラスに転じている。

一方、問題となった連結子会社八木熊における架空取引だが、2003年3月期から始まり、発覚した2006年3月期分までで、売上高累計は178億9100万円、同粗利益は5億6500万円。当初は額も「比較的」小さめだったのが次第に大きくなり、最後の2006年3月期には単年度で連結売上高85億4400万円、粗利益で3億3900万円と膨大になっていったありさまが【付随資料、PDF】からもうかがえる。当初「昨年度だけで売上80億円、粗利益3億円」とされていた部分は「昨年度だけで85億4400万円、粗利益3億3900円」だった。

今回の架空取引で発生した損害金についてリリースでは、連結子会社の八木熊が80億5000万円を特別損失に計上。使途不明金や循環取引(=架空取引)に関与することとなった販売先に対する損害賠償金として用いられる。フクビ化学自体が被ったとされる6億2400万円も、八木熊が全額負担するとのこと。ただし負担方法は「現在債務引受や債権譲渡等、弁護士と相談中」とあるため、現金即決一括払いという形にはならないもようだ。架空売上内容で累計連結粗利益が5億6500万円とあるに対して計上損失額が6億2400万円とあるのは、恐らく最終利益として計算する過程で生じたものだろう。

架空取引の内容を見る限り、フクビ化学個別の粗利益の点で最初の2年間がむしろマイナスとなっている(つまり、結果として利益の過少報告をしている)あたり、当事者は当初販売先はともかくフクビ化学には損失をできるだけ抑える方向で改ざんを図っていたものと思われる。ところが架空取引が気がつかれずにうまくいったため、段々と味をしめて規模を拡大し、その影響はフクビ化学個別にも及ぼすようになったのだろう。実際、架空取引部分のフクビ化学個別の内容額は、「-800万円、-1600万円、8600万円、1億8700万円」と最初はマイナスで年をおってプラスに転じて増えている。

八木熊が決算書を公表しておらず、フクビ化学工業の連結子会社も八木熊だけではないので、八木熊がこの負担に耐え切れるかどうかは判断がしにくい。ただ、元々フクビ化学と八木熊の間は人事面で深いつながりがあり、得意先も他の連結子会社にはなく八木熊のみという現状から、フクビ化学側でもさまざまな対応策をとることだろう。

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