自衛隊、統合幕僚監部設置開始、陸海空自衛隊の指揮系統が一元化

2006年03月28日 08:30

自衛隊イメージ【Mainichi INTERACTIVE】の報によると、【防衛庁・自衛隊】は3月27日、1954年の創設以来はじめて、陸海空の3自衛隊を一人の指揮官が束ねて実際の作戦行動を行う統合幕僚監部を設置した。初代統合幕僚長には先崎(まっさき)一・統合幕僚会議議長が就任した。自衛隊を効率的に運用するのが目的。

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これまで自衛隊は陸上、海上、航空の3自衛隊のトップたる幕僚長がそれぞれ指揮を行い、防衛庁長官を補佐する形となっていた。しかし相互連絡・連携が不足し、記事の指摘にもあるように阪神大震災で物資輸出が遅れる(ヘリポート開設の件で、海自と陸自・空自間の情報伝達が不十分という問題があった)などの「失点」の反省や、スマトラ沖大地震の被害への救援やイラク派遣、テロ対策など、効率的かつスピーディな自衛隊の運用が求められる状況から、今回のような統括管理をする組織の重要性が叫ばれていた。

統合幕僚監部設置後の新体制では、統合幕僚長は防衛庁長官の命令で3自衛隊から隊員を集めて「統合任務部隊」を編成し、緊急事態に対応する。そして各自衛隊の幕僚長は後方支援に区割り、統合幕僚長を補佐することになる。

ちなみにアメリカではこのような統合組織は常に編成されており、他の主要国も1990年代には似たような組織改変をしている。組織の柔軟運用と効率化がおもな理由だ(経済的にもローコストになりうることも一因)。一言でいえば「3次元的なタスクフォース化」といえる今回の改変、時間と手間はかかるが、効率性が高まり柔軟性もアップするのだから、諸手を挙げて賛成されるはずだろう(もっとも指揮系統の集中による「危険性」の懸念もあるが)。

一方、これまで3自衛隊が半ばバラバラに運用されていたのを統合することになるのだから、それぞれの「方言」を是正する必要が出てくる。後方支援・補給体制の構築、通信システムの整備、情報共有のためのフォーマット整備などが課題となる。それこそ記事にある通り、5年、10年という長い目で改変を推し進めていく必要があるだろう。


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