新卒採用数、来年度は少々厳しいかも・中には今年より増やす業種も

2009年02月12日 06:30

雇用イメージ楽天リサーチなどは2009年2月9日、2010年度新卒採用(2010年4月から雇用)に関するインターネット調査の結果を発表した。それによると10年度の新卒採用において、2009年度より採用人数を増やすとする人事担当者は1割に過ぎないことが明らかになった。「09年度と変わらず」が4割を超え、「減らす」傾向にある人事担当者の方が「増やす」傾向より3倍近くも多いなど、全般的に見て人事担当者の立場からも「新規採用は減る」傾向にあるようだ(『発表ページ』)。

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今調査は2009年1月26日から27日にかけて、全国の20~60代の男女500人の人事担当者を対象に行われたもの。有効回答数は500。年齢・性別階層は未公開。

派遣社員だけでなく正規社員をも自宅待機・解雇せざるを得ない企業のことが毎日のように報じられ、雇用に対するマインドは非常に低い値にある。毎月月頭に発表されている「景気ウォッチャー調査」でも、雇用関連の数字は他の数字よりもさらに低く、そして低迷したまま。

それでは今回アンケートに応じた、人事担当者らの企業でもやはり「新卒など雇ってる余裕は無い」状態なのだろうか。それぞれに2010年度における新卒採用意向を尋ねたところ、もっとも多かった意見は「昨年度と同じ」で4割強を数えていた。

2010年度の新卒採用意向
2010年度の新卒採用意向

次いで多かったのが「昨年度より減らす」で3割近く。以下「新卒採用はナシ」「昨年度より増やす」などが続く。

「昨年度より増やす」「昨年度はナシ。でも今年は採用」をあわせた「増やす」傾向の項目が11.2%しかないのに、「減らす」項目は32.4%と3倍近くも占めている。人事担当者の立場からも、やはり今後の就職戦線はやや厳しい状況に見えるらしい。

それではこのような「来年度はやや厳しい」傾向はすべての業種に押しなべて到来しているのだろうか。実際には業種によってかなり違い・ばらつきがあるようだ。

2010年度の新卒採用意向(業種別)
2010年度の新卒採用意向(業種別)

IT系の「情報通信業」、そして消費マインドの減退で多くの企業が売上を大きく落としている「卸売・小売業」、さらには今回の景気後退でもっとも大きな痛手を受けている業種の一つ「金融・保険業」において、「採用数削減」の回答が多いのが分かる。やはり業界全体の低迷は、新卒採用数にも大きな影を落とすのだろう。

一方、「横ばい」のトップに「公務」がついてあるあたり、究極の安定職であることを再認識させてくれる。「公務員最強伝説」が今始まる、というところ。また、常に人員不足が叫ばれている「医療・福祉」も増加傾向であることが確認されている。ただし「医療」業種の多くは特殊な技術・資格が必要な場合が多く、さらに昨今の(半ば以上無意味どころか悪癖の)医師バッシングで成り手のハードルも高い。

「福祉」は「福祉」で、(特に介護部門において)制度が施行されてまだ間もないこともあり、低賃金・重労働の場面が多く、定着率も低いのが難点。採用数を増やすのも、途中で辞める人が出ても事業をしっかりと回転させるための予防線的雇用だろうか。ただし同じ「福祉」でも、幼児の保育所など育児部門は、公的機関の数が絶対的に足りないこともあり、業界そのものが比較的堅調に推移している。この部門なら増加採用数をカバーするだけの十分な応募も期待できよう。


大きな企業ともなれば人材の新陳代謝もあるから、新卒の応募皆無ということはあまり考えられない。それでも生産そのものが萎縮している以上、新規採用数に期待をかけることは難しい。とりわけ「情報通信業」「金融・保険業」などは厳しい新規雇用情勢が続くだろう。

業種の中には「昨年度と変わらない」「いやむしろ増やす」というところもある。しかし就職が一生モノであることを考えると、単純に「(好きな業態ではないけれど)入りやすいから就職する」といった考え方も問題。じっくり考えて選択しよう。


(最終更新:2013/09/01)

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