保有銘柄数を絞りつつ、売買頻度は高めたい意向…野村證券(8604)、2009年1月計測分の個人投資家動向を発表

2009年02月04日 08:00

株式イメージ【野村證券(8604)】の金融経済研究所は2月3日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2009年1月計測分、PDF】)。「ノムラ個人市場観指数」はやや回復を見せ、海外における状況の改善が見られるという意向がちらほらと見て取れる。

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今調査は1000件を対象に2009年1月21日から22日に行われたもので、男女比は71.8対28.2。年齢層は40歳代がもっとも多く33.0%、ついで30歳代が24.2%、50歳代が22.8%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く24.1%、500万円~1000万円が22.9%、200万円~500万円が18.4%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く34.2%を占めている。次いで5年以上が20.5%、1年から2年未満が18.9%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く46.1%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が31.8%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わりなし。

詳細はレポートを直にみてほしいが、概要的には

・投資指数は先月よりは回復。ただし前年同月比で比較すると10ポイント以上下回る。
・保有銘柄数を絞りつつ、売買頻度は高めたい意向。
・海外動向を中心に、市場を取り巻く環境が改善しているとの意見。
・魅力的な業種は「医療、へルスケア」。「建設、不動産」を超える形で3か月連続して「自動車、自動車部品」がもっとも注目度の低い業種に。
・投資魅力を感じる市場は「日本」「インド」「オーストラリア」など。感じない市場は「中国」「アメリカ」「イギリス」など。


という形に。1月は株価そのものはやや安定、上向きの雰囲気(低位置で、だが)を見せつつある。しかし国内外を問わず景気の先行き不安感は高まるばかりで、単なるリバウンド、あるいはさらなる下降への助走のようにすら見える。従来株価を底上げする外資も、今や売り手傾向が強く、逆に底「下げ」する要因にすらなりつつある。海外を中心に「状況が安定しつつある」と見たのは、「これから良くなるだろう」という積極的思考というよりは、「これ以上は悪くならないだろう」という底値感、あるいは悪い話に慣れてしまったからなのかもしれない。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」だが、上位5銘柄の多くは変わりがない。海外での売れ行き不調や為替差損などで何かと新聞を騒がせている[トヨタ自動車(7203)]が今回もトップ。ただし「究極の安定銘柄」と見られる向きの強い【東京電力(9501)】が第二位の地位を不動の座として維持しつつあり、昨今の市場動向をかいま見る結果ともいえる。

1位……[トヨタ自動車(7203)]
2位……【東京電力(9501)】
3位……[武田薬品工業(4502)]
4位……【ソニー(6758)】
5位……[任天堂(7974)]


上位を占める銘柄はそれだけ注目を集めていることに他ならない。トップの[トヨタ自動車(7203)]は海外市場不振や為替の問題などで、今やネガティブな方面で毎日のようにマスコミに登場しているが、それでも「投資対象の王様」としての立場に変わりはない。世界的な規模としては他の企業に類を見ない「トヨタ王国」の株式は、あるいは憧れの的ですらあるのかもしれない。

混迷が続く金融危機(金融工学危機)は、実体経済の足を道連れに奈落の底に叩き落しつつある。本当の責任者は責任を取るどころか舌を出しつつ果実をつかんだまま逃げ去り、多くの人の非難などどこ吹く風という状況。報道が必要以上にあおりたて、人々のマインドを冷え切らせてしまっているあたりもあわせ、まさに戦前の大恐慌時代前後の状況に似た雰囲気を呈している。

一世紀近く経った今、様々な技術も進化し情報の伝達能力も質も向上した。では人間自身の質はどのように変わったのだろうか。見た目は違えど案外同じようなことを繰り返しているだけなのかもしれない。

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