トヨタなど自動車・石油・重工業6社が「バイオエタノール革新技術研究組合」を設立

2009年02月10日 08:00

バイオエタノールイメージ新日本石油、三菱重工業、トヨタ自動車、鹿島建設、サッポロエンジニアリング、東レの6社は2009年2月9日、「食料と競合しない」セルロース系バイオエタノールの一環製造技術(要は「上流から下流まで」)に関する研究開発を開始するため、「バイオエタノール革新技術研究組合」を設立したと発表した。2015年までに原油と競合できる価格帯での生産技術確立を目指していく(【発表リリース】)。

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原油価格の下落から一時期の盛り上がりからはやや沈静化しているものの、エネルギーの安定供給(資源に乏しい日本では、自前でエネルギーが作れればそれにこしたことはないし、国家戦略上でも重要な意味を持つ)や地球環境保護(二酸化炭素削減)の観点から、再生可能な資源を元に作られるバイオエタノールへの注目度は決して低くない。ただし現状では「食料と競合してしまう」とうもろこしを使ったバイオエタノールの生産がメインのため、「エネルギー確保のために食料の生産機会が失われる」という本末転倒な事態が進行しているのも否めない。シンプルに表現すれば「自動車を動かすためにご飯が食べられなくなる」という具合。

そこで今回、食料と競合しないセルロース系バイオエタノール(材料として雑草や木材を使用)の製造の各工程における要素技術を持つ上記6社が、経済的かつ多量、安定的な製造技術の確立に向けた技術研究組合を共同して設立することを決定した。

セルロース系バイオエタノール製造プロセスと技術課題
セルロース系バイオエタノール製造プロセスと技術課題
「バイオエタノール革新技術研究組合」の組織
「バイオエタノール革新技術研究組合」の組織

今後同組合では「エネルギー植物の生産技術開発」「前処理・酵素糖化・発酵・濃縮脱水のプロセス技術開発」「一貫製造プロセスのベンチ実証試験(25000リットル/年)」などを行い、最終的に2015年までに「原油と競合できる価格、40円/リットル」で「20万キロリットル/年」を生産できる製造プロセスの技術確立を最終目的としていく。さらに東大との共同研究や農林水産関係研究機関、秋田県農林水産技術センター総合食品研究所、北海道大学などとも連携し、技術革新を目指すという。

【バイオエタノールへの「疑問符・急加速へのブレーキ」と反論】などでも説明しているように、現在スイッチグラスという名前の雑草を用いたバイオエタノールへの加工技術をはじめ、さまざまな「食料との非競合系植物によるバイオエタノール生成技術」の確立が急ピッチで進められている。原油価格高騰の沈静化と景気後退による原油需要の減少で、でスピードは低下してしまったものの、中長期的には(画期的な別系統のエネルギーが開発されない限り)必ず必要とされる技術であるのもまた事実。

消費者の立場にしても、バイオエタノールだろうが原油からのガソリンだろうが、「リッター40円」+α(各種マージン)でガソリンが提供されるのなら、それに越したことはない。経営状態が急速に悪化している各社にとっては、大規模な注力は難しいかもしれない。しかしこのような時期だからこそ、研究の手を休めず、目標にむかってまい進してほしいものである。

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