2008年12月の新設住宅戸数、前年同月比5.8%減

2009年02月02日 08:00

住宅イメージ国土交通省は2009年1月30日、2008年12月における新設住宅戸数のデータを発表した。それによると12月の新設住宅着工戸数は前年の同月比で5.8%減の8万2197戸となり、6か月ぶりの減少を示したことが明らかになった。着工床面積は2か月連続して減少を示していることとあわせ、改正建築基準法施行直後の崩落後の差分考慮時期が終わり、停滞時期から再び後退期に突入したのではないかという懸念が生じている(【発表リリース、PDF】)。

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具体的な内訳は持家が7.3%、貸家は4.1%、分譲住宅は7.5%の「減少」。今回は三部門すべてにおいてマイナスの値を見せる結果となってしまった。

改正建築基準法の施行、そしてそれに伴う行政側の準備不足・不手際が2007年夏以降の住宅市場における混乱と、新設住宅戸数の減少をもたらしたのはすでにご承知の通り。そして最悪のタイミング(ほぼ同時期)で資源高・賃金高・資金繰りの悪化などによる建設業界全体の急速な市場環境の軟調感が進行。さらには資源高が落ち着いたあとの世間全般の不景気感による顧客ニーズの急速減と、金融機関からの極端なまでの貸し渋り・貸しはがし(査定厳格化)など、業界が受けている逆風は強まるばかり。昨年秋口のラッシュを境に「多少」落ち着きを見せていたが、再び勢いを失う状況にある。前年同月比ベースでは、すでに昨年前半までの低迷期に近い水準まで落ち込んでいるという現実的な数字が、ここにある。

新設住宅戸数の変遷
新設住宅戸数の変遷(2008年12月分まで)

2007年8月~10月の大低迷から上昇傾向を継続していた前年同月比割合は2008年に入ってから前年同月比マイナス5%前後を行き来し、2008年夏にかけて急上昇を果たす。これは改正建築基準法の施行により大きく不動産・建設業が下向きを見せた、2007年夏期以降の数字と比較したがための結果であり、あくまでも「比較論」としてのプラスだった。そして10月に入ると再び下落基調を見せ、今回発表の12月分ではとうとうマイナスに再び沈み込んでしまう。着工床面積概要も先月同様減少しており、着工戸数の減少を先取りしていたことになる。

耐震強度偽装問題を教訓にした
「改正建築基準法」の施行

・行政の不手際などで
新築戸数などが激減
・2007年夏で底打ちに見える。
・2008年3月再び下落・失速感。

最悪期の「去年」比で幾分堅調に

景気・業界低迷・金融硬化には勝てず、
再び下落傾向を見せる。
12月はついに前年同月比マイナスに。

国土交通省では同日、住宅着工に一か月ほど先行するといわれている建築確認件数も発表している(【「最近の建築確認件数等の状況について」発表リリース】)。これによると今回発表された12月分データでは10.9%マイナスとなり、11月分データの19.3%マイナスほど酷くはないものの、やはりマイナス値を示している。残念ながら来月発表分の住宅着工も、今月同様にマイナス値を見せることになりそうだ。今回もすべての建築物においてマイナスの値を見せており、「一部種類の住宅はプラスだったので、あるいは……」という可能性も否定されている。

今回の12月分データは、2008年夏以降、小回復を見せたかに見えた建設・不動産業の状況が、再び軟調化している状況を数字の上からも確認できるものとなってしまった。上場している関連企業の破たんにおいては2008年10月・11月のピークは過ぎたものの、年度末の2009年3月に向けて再び不穏な空気が流れている。さらに製造業や金融業など他業種大手が相次いで業績予想の大幅下方修正をしていることからも明らかなように、消費者の需要マインドは急速に低下していることもマイナス要因となりうる。

今年の春先までは、昨年秋口同様に大きな動きも想定できる。これまで以上に慎重な対応が求められよう。

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