1%の希望の星……新興市場の「勝ち組」の成績をグラフ化してみる

2009年02月09日 06:30

株式イメージ先日(先々週)発売された経済週刊誌のうち、『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』が非常に資料価値の高い内容を見せていたとして、それをトリガーにして色々と考えたり図式化する記事企画第四弾。今回は「新興市場の断末魔」を取り上げている週刊東洋経済から、「新興市場銘柄で三年間において株価が上昇した、一握りの会社たち」をグラフ化してみることにする。

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該当の週刊ダイヤモンドではタイトルの「新興市場の断末魔」からも分かるように、現在株式市場の中でも特に低迷を続けている新興市場において、何が問題なのか、何が起きているのかを淡々と解説している。もちろん実際にはこのような企業ばかりではないのだが、これだけを読むと「上場企業のイメージ」ががらりと変わってしまいそうなほどの話がオンパレード状態。

どことは言わないが、三年間で株価が99%以上下落した(分割などは考慮せずに)銘柄が13、9割以上が200を超えているというのだから鼻血が出る思い。ちなみに掲載字の新興市場銘柄は1027(ジャスダック、マザーズ、ヘラクレス、アンビシャス、セントレックス、Qボードあわせて)だから、約2割の銘柄が90%以上の株価下落をこの3年で体験していることになる。





順に、ジャスダック・マザーズ・ヘラクレス指数の過去5年間の動き。
順に、ジャスダック・マザーズ・ヘラクレス指数の過去5年間の動き。

そのような状況においても、健気にこの三年間において、株価が堅調に推移した銘柄が17社ではあるが、確実に存在する。それが特集記事内でのコラムの一つとして取り上げられていた。いわく、2005年12月30日から2008年12月30日の間に、株価が上昇した銘柄は17社しかないが、その多くはM&A関連である、残りは医療・食品などの内需関連で占められているなどなど。その他に【ハドソン(4822)】が「ネット関連銘柄」として注目されているという言及があるのも目に留まる。

そこでここでは、これら17社が2008年12月30日以降どのような株価推移をしたのかも気になるということで、2005年12月30日と「2009年2月6日」、つまり直近終値との株価を比べ、その騰落率をグラフ化することにした。その結果が次の図。

「新興市場において3年で株価が上昇した銘柄」のその後(2005年12月30日と2009年2月6日の株価比)
「新興市場において3年で株価が上昇した銘柄」のその後(2005年12月30日と2009年2月6日の株価比)

残念ながら3銘柄ほど、「3年+α前の株価と比べればマイナス」に転じてしまっている。しかしその割合はせいぜい数%であり、他の多数銘柄と比べれば優秀な成績であることに違いはない。3年間に支払われた配当などを考慮すれば、実質的にはプラスと判断してもよい。

例えばハドソンの場合、3年+αで株価は30.8%上昇した。これは複利で約9%/年のプラスと見てよい。ハドソンの場合は残念ながら配当は無いが(復配予定)、他の銘柄の中には配当もあるため、利回りはさらによくなる。

約1000銘柄中、3年間で株価が上昇したのはわずか17(直近なら14)。割合は1%強でしかない。百回クジを引いてようやく一回当たるような割合でしか、「三年間で儲けが出る」銘柄はないという計算になる。さらに長期的な視野で見ればまだ話も変わってくるのだろうが、数年単位のスイングスタンスの投資家にしてみれば、新興市場は鬼門以外の何物でもないのかもしれない。

……今後どうなるのかは神のみぞ知る、だが。


(最終更新:2013/09/04)

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