7割が「まだまだ下がるネ」購入希望者側から見たマンション価格の動向

2009年01月13日 06:30

マンション購入検討イメージ不動産市場分析を行うマーケティング会社アトラクータズ・ラボが2008年10月17日に発表した意識調査によると、マンション購入を検討している人は「1年後の住宅価格」について「(まだ)下がる」と考えている人が7割近くに達していることが明らかになった。現在でもかなり下落している住宅価格だが、購入予備群の目から見れば「さらに下落は続く」という状況にあるようだ(【発表ページ】)。

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今調査は同社サイトのモニター登録会員に対し、直近3か月以内に新築マンションの販売センターに足を運んだ経験がある人のみを対象とし行ったもの。最新データは2008年10月3日~8日に取得され、有効回答数は197件。第1回調査は同年4月21日~28日、第2回は7月4日~14日に実施されている。多少母数が少ないが、元々マンションに興味関心がある人向けのモニター会員で、さらに最近販売センターに行った人のみにデータ取得を絞っているので、精度は比較的濃いものと思われる。

”2008年10月頭の時点で”1年後の住宅価格がどのように変化するか尋ねたところ、下落度合いは別としてその時点からさらに下がると考えている人は7割近くの67.2%に達している。

(問い合わせた時点から)1年後の住宅価格はどのように変化するか
(問い合わせた時点から)1年後の住宅価格はどのように変化するか

住宅価格が下落を続けているのは皆が皆承知の通りだが、その下落過程においても「さらに値下がりするだろう」という思惑を持つ人が増加している。これは住宅市場の状況が「購入予備群」から見て「ますます厳しさを増している」のが一義的にあるものと思われる。特に7月に行われた第2回から10月に行われた第3回目に至る際の「下がる」派の上昇幅は著しいものがあり、注目に値する。

今調査では他にも「マンション(住宅)購入予備群」の深層心理を推し量る結果がいくつも見て取れる。ざっと箇条書きにすると

・最近になればなるほど
1.現在のマンション価格は高いと考える人が増えている
2.購入したい物件数が減っている
3.購入をあきらめた物件数が増えている
4.「購入再検討」をする値下げ率の割合が増えている


などの傾向が把握できる。いずれも上記の「1年後の住宅価格が少なからず下落する」という思惑があればこそ理解できるし、納得もできる意向ばかりである。

価格は下落しているのに
「まだ下がる」との思惑を
持つ人が増えている

市場の加速度的下落の
可能性

注意すべきなのは、これらの現象が「価格が上昇している場面」ではなく、「下落している場面」で起きていること。「買い手」と「売り手」の思惑がすれ違い、下落傾向に拍車がかかるであろうことが容易に想像できる。株式の売買における心理戦と同じで、「今は安いが、さらにもっと安くなるだろう」という思惑が市場を支配しているために、客観的に見れば十分安い価格でも誰も手をつけたがらない、いわば「にらめっこ」的な状態にあると見てよい。

あるいは「安くなるだろうから”今は”買わない」とは逆で、購入予備群のおサイフ事情が厳しくなったからこそ「今の価格は高くて、あきらめなくちゃいけないし、もっともっと値引きしてくれないと手も届かない」と考えているし、希望的観測として「住宅価格は下落する」という想いを寄せている可能性もある。

にらめっこイメージいずれにせよ、建売住宅(今調査はマンション対象であるが、一戸建ても事情はさほど変わらないだろう)の供給と需要の思惑の上でのミスマッチ・心理戦は今しばらく続き、価格の下落も継続するものと思われる。ましてや不景気で買い手の財布のヒモがきつくなれば、その下落率は加速度的になる可能性も否定できない。

今調査が定期的に行われるとすれば、次は3か月後の今年1月中に結果が発表されるはず。心理面から見た住宅事情を推し量れるデータの最新情報を期待したいところだ。

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