初夏の風物詩「鳥人間コンテスト」も金融危機には勝てず・2009年は中止へ

2009年01月17日 12:00

グライダーイメージ鳥人間コンテスト大会事務局は2009年1月16日、今年も開催予定だった「鳥人間コンテスト」について、予算削減で安全面の確保が出来ないとの理由により中止することを発表した。来年の2010年は例年通りの開催予定。また「出場希望説明会」は予定通り実施され、その場で各種説明が関係者に行われるとのこと(【発表ページ】)。

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「鳥人間コンテスト」はその名の通り、「空を飛ぶ鳥のように大空を駆けたい」という人の想いをほんのひとかけらでも果たそうとする人たちによる、少しでも遠くへ飛ぶことを競い合う大会(一応主旨としては「テレビ番組制作を目的とした自作人力飛行機による飛行距離および飛行時間を競う大会」と定義され、番組制作のためのイベントであることが掲げられている)。1977年に第一回開催が実施され、以降1997年大会で台風到来のため全面中止となった以外は毎年定年行事として行われていた。

リリースによる中止の理由説明は次の通り。

昨今の厳しい経済環境はテレビ業界も同様で、番組制作費の見直しが検討されております。その中で、「鳥人間コンテスト」は参加者の安全な飛行を重視して大掛かりなセットや救助システムを組んでおり、予算削減を理由に安全面を軽視することは考えられません。事務局としても、大会開催にむけて検討を重ねてまいりましたが、上記の理由で09年の開催休止を選択しました。


主旨のところで説明したが、「鳥人間コンテスト」も「番組制作」のためのイベントに過ぎず、予算が削減された以上、その予算内で安全確保は困難であるとの判断が下されたことになる。日本テレビ側が番組制作費に対してどのような方針を持っているかまでは分からないが、少なくとも「鳥人間コンテストに対して十分な予算を配分するほど、同コンテストを重要視はしていない」こともかいまみれる(非常に残念な話ではあるが)。

日本テレビといえば、【主要テレビ局銘柄の第2四半期決算をグラフ化してみる……(4)主要テレビ局の収益構造を再点検してみる】で解説したようにテレビ放送事業の収益悪化が問題視されている。また、関連媒体である読売新聞は前期においてすでに営業利益の時点で赤字を計上している状況にある。「減らせるものはミリ単位まで減らす」体制で臨んでいる状態では、このような結果になるのも致し方ないのだろうか。

大空への夢イメージなお「現時点では」来年2010年の大会開催は通常通り行われる「予定」となっている。その当たりの詳細説明も2月に開催予定の「出場希望者説明会」で行われるのだろう。とはいえ、サークル活動などで毎年のように出場参加へトライしてきた人たちにとっては、まるで「甲子園球児が『今年は予算の手当てがつかないので夏の高校野球は中止します』と宣言されたような」もの。無念さを察するに余りある。

また、「2010年は開催予定」とあるものの、これが「今年開催しない分の予算を翌年に計上することで何とかまかなう」を意味するのか、「来年は今年より情勢は改善され、予算の手当てもつくだろう」という希望的観測を意味するのか、現時点では分からない。前者の場合はまだ金額的可能性はあるものの、そのような繰越予算計上を日本テレビ側が許すかどうか不確定要素が大きい。後者の場合は「非常に甘い」観測であると見なさざるを得ない。

いずれにせよ、各方面の対応や、同様の立場にあると思われる各種テレビ局主催のイベント動向などもあわせ、注意深く見守る必要があるだろう。


(最終更新:2013/07/31)

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