高額物件では10%以上も! 賃貸料も株価と共に下落する不動産市況

2009年01月14日 08:00

高級賃貸マンションイメージ不動産市場分析を行うマーケティング会社アトラクターズ・ラボが1月9日に発表した意識調査によると、東京都心部の高級賃貸住宅において、株価の低迷とほぼ連動する形で賃貸料が下落する傾向が見られることが明らかになった。またその下落率は物件が高額のものであるほど高く、10%以上もの下落率を見せる価格帯もあったという。不動産不況は売買物件だけでなく、不景気下でも強いとされていた、高級水準の賃貸物件の賃貸料にも押し寄せているようだ(【発表ページ】)。

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今調査は高額賃貸住宅の中心エリアである、東京都港区・渋谷区において賃料30万円以上をつけていた住宅を対象にしたもの(当方も含めた一般庶民には「高嶺の華」)。前回募集した賃料と、そこの住民がいったん退去したあとの今回募集賃料を比較し、その差を元にしたデータである。仮に前回と今回の賃料が同じなら、その差はゼロ%という具合だ。

まず2007年初頭から現在における、賃料改定率と株価推移を比較したのが次の図。

高額賃貸住宅における賃料改定率とTOPIX月間終値推移
高額賃貸住宅における賃料改定率とTOPIX月間終値推移

縦軸の捕らえ方が巧み、ということもあるが、非常によく連動していることが分かる。

またこれを2008年11月時点において、元となる賃料階層別に分けて下げ具合を見ると、高額物件の方が「金額」ではなく「割合」で大きく下落しているのが確認できる。

2008年11月における賃料階層別・賃料改定状況
2008年11月における賃料階層別・賃料改定状況

単純に賃貸市場全体が低迷するだけなら、(元々の額が高いので同じ割合でも)高額物件の方が賃貸料の下落額も大きくなるのは理解できる。しかし今データを見る限り、「下落額」だけでなく「下落率」も、高額物件の方が高い現象が見受けられる。

これは「利用者層の財布のヒモのきつくなり方が、高額物件利用対象者の方が大きい」「市場全体が不況感で満たされているため、特に高額物件ほど割高感が大きくなるため、値引率も高めないと集客できない」「高額物件そのものからの客離れにより、需給関係のパワーバランスが逆転した」などの理由が考えられる。

特に最後の点においては、かつてのバブル時代、そして直近数年前の「高額物件ミニバブル」においてまん延していた「高額物件ほど人気が集まる」「価格そのものがその物件の付加価値だ」というメッキがはがれ落ちつつあるがための結果といえよう。以前は業者側がブイブイ言わせて高額をつけ、それに富裕層が群がる構造すら見えていたが、いまや力関係は逆転し、業者も頭と賃貸料を下げないと誰も借りてくれないといった感である。

一般庶民層向けの賃貸料はさほどの下落ぶりを見せていない。しかし高級賃貸住宅においては、売買物件同様に下落の嵐に巻き込まれている状況にあるのだろう。


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