米ファンダメンタル投資専門家が語る「リセッション時において投資対象を絞るポイント」

2008年12月18日 08:00

ファンダメンタルイメージアメリカも正式にリセッション入りし、株価下落・景気悪化・経済指標改悪など、気が滅入るニュースが立て続けに舞い込んでくる毎日。アメリカにおいても個人投資家の多くも右往左往し、次に何をすればいいのかと専門家のドアを叩く頻度が高まっているという。そのような状況の中、【Askmen.com】で「ぐだぐだした市場の中で一端の投資家になるために(Becoming A Financial Player In Troubled)」と称し、財務面(ファンダメンタル面)から銘柄を見極めて投資すべきだという専門家による記事が掲載された。非常に基本的なお話ではあるが、ファンダ派の投資家にとっては再確認すべき内容でもあるので、ざっとまとめて掲載してみることにする。

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まず掲載されていたのは「なぜこんな時に投資するのか」の理由。耳にタコ状態なので簡単に訳すと「過去の事例にもあるように景気後退が永遠に続くわけではない」「このような暴風雨の中でもびくともしない銘柄を選んでおけば、来るときには素晴らしい成果を見せてくれる」とのこと。気になる「何年かかるか」については当然のことながら書かれていない(笑)。

そして具体的に「どのような条件で『暴風雨の中でもびくともしない銘柄』を選ぶか」について、いくつかの項目に分けて紹介している。

ROE(株主資本利益率)
企業の収益性を測る指標。株主資本が企業の利益にどれだけつながったのかを示す。1株あたりの利益÷1株あたりの株主資本で計算される(純利益÷株主資本×100)。原文では10%以上が必要ラインとしている。ただしこれはアメリカでの話で、日本で計算すると少々ツラいかもしれない。また、借金のことは考慮されていないので、 むしろROA(総資産利益率、純利益÷総資産×100)の方が良いかもしれない。

Quick assets ratio(当座比率)
短期の負債に対し、どれだけ敏速に支払いができるかを示した値。これが低いと、とっさの支出の際に対応できず、いわゆる「黒字倒産」のリスクが高くなる。当座資産÷流動負債×100で計算される。

成長イメージ成長率
元記事では概念論が語られていて具体的な話が述べられていない。売上・利益・会社規模など、成長率を図る元の数字はいくつも挙げることができるが、とりあえずは売上と営業利益(会社本業の利益)と最終利益の3つをチェックしておけば良いだろう。もちろん過去数年間をさかのぼり、成長率そのものが上ぶれしている(=成長スピードが加速している)ことが望ましい。

Price-to-Earnings Ratio(株価収益率、PER)
株価を推し量る指標としてもっとも有名なもの。株価÷一株あたりの純利益で表せる。「今の株価でなら、何年で元本を回収し得るか(利益を全部配当にまわした場合)」という意味合いを持つ。例えばPER10なら、今の株価で購入した場合、株価の1/10が1株当たりの純利益となる。もちろん低い方が「お買い得」。ただし業種によって平均的なPERには差異がある(全般的に新興企業・業種、例えばIT系の場合は高い期待がかかるのでPERも高くなる。利益そのものがふくらんでいくことが想定できるからだ)ので注意が必要。これも具体的な指針は元記事には無い。

Profit Margin(売上高利益率)
在京キー局の財務諸表をチェックする時に何度と無く登場した指標。売上に対してどれだけ効率的に儲けが出ているのかを示す値。利益÷売上高で計算され、どの時点の利益を用いるかで「粗利益率」「営業利益率」「税引前利益率」「純利益率」などに区分される。もちろん高い利益を少ない売上高で上げた方が(=マージンが大きい方が)優秀なので、高い値の方が優秀。元記事では「少なくとも10%以上」と表記しているが、どの時点の利益までは記載していない。最終的に「いくら儲けたか」がもっとも重要なので(本業で儲かっても投資などの副業でコケてはみもふたもない)、「売上高純利益率」で計算して良いだろう。


以上、五つの指標「ROE(株主資本利益率)」「Quick assets ratio(当座比率)」「成長率」「Price-to-Earnings Ratio(株価収益率、PER)」「Profit Margin(売上高利益率)」をチェックして「お宝銘柄」を見つけろ、というのが元記事の主旨だ。言い換えれば「儲けやすいビジネスをしていて」「黒字倒産のリスクが低く」「断続的に成長を重ねており」「儲けの割りには株価が安く」「中抜きの大きい楽な仕事をこなしている」銘柄を選べば良い、というのが結論。


そんなもん分かるか。


……というツッコミが入ってきそうだ。もちろん当方もツッコミを入れた。「だが へんじはなかった」。

しかし無料で使えるスクリーニング(検索)ソフトやサイトサービス、各種証券口座を持っている人はその証券会社が提供しているスクリーニングサービスを活用すれば、これらの条件による検索は気軽に出来る。具体的なパラメータの設定、例えば「PERは10以下で無いとダメ」などは個々の判断次第だが、試行錯誤を繰り返せば「あれ? こんなのあったんだ??」的な銘柄を見つけることができよう。

諸表チェックイメージちなみに。ファンダメンタル式のスクリーニングでは社会情勢はあまり反映されないし、検索時の数字が最新のデータに基づいたものではないことも多い。例えば先日テレビ朝日が下方修正をしているが、その内容は当然先日発売された四季報、そしてその四季報のデータを元にデータを提示している多くのスクリーニングサービスでは、反映されていない。うのみにすると痛い目にあうので、銘柄を選択したらまずはその会社のサイトをチェックして、過去5年間分の決算短信や直近のリリースなどを確認しよう。

またなぜか元記事では触れていないが、配当利回りや配当性向、その企業の配当に対する方針(配当性向以外の部分)も重要といえる。これについてはまた機会があれば。

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