アメリカの失業率の動向をグラフ化してみる

2008年12月14日 12:00

失業イメージ先に【アメリカの自動車産業に従事している人の数や年収をグラフ化してみる】で失業率の変移について触れた際、アメリカの労働省のデータベースなどを参照した。同省のサイトでは簡単な操作で過去のデータを色々な形で取得することができるサービスが用意されている。失業率云々でせっかくデータを引き出すことが出来たのだからとばかりに、アメリカの失業率の変移をグラフ化してみることにした。

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まずはデータ抽出元について。アメリカの労働省には過去のデータを任意の形で抽出できるデータベースが用意されている(【該当場所】)。ここからまずは失業率(季節による差異の調整済み)を抽出、グラフ化した。データは1948年から用意されているので、まずは年次のもの。ちなみに失業率の計算においては、「就業する意図がない者(非雇用対象、Not In Labor Force)」は計算に入れていない。

アメリカ失業率(-2000年は年次、以後月次)
アメリカ失業率(-2000年は年次、以後月次)

経済そのものの好調・不調以外に、経済構造の変化など多種多様な要因で失業率は上下する。そのため、意外に起伏が激しいことが分かる。1980年前半は特に失業率が高く、10%を超えていた時期があるのは見逃せない。この時期はアメリカは不景気にあり、日本は逆にバブル時代となり、例の「ジャパンバッシング」も盛んだった時代。ちなみに日本の失業率は【統計局データ】によると、2008年10月時点で季節調整値3.7%。

さらに2000年以降について月次でグラフ化したのが次の図。

アメリカ失業率(2000年以後、月次)
アメリカ失業率(2000年以後、月次)

前回と現在進行形の「リセッション」(公認景気後退時期)部分に帯で色をつけてみたが、見事にリセッション時期には失業率が増加していることが分かる。もっとも「リセッション」の認定の一要素に、経済動向を示す失業率も勘案されるのだから、当然といえば当然の話。

続いて「非農業部門雇用者数」。これは農家以外の労働者の数をカウントしたもので、絶対数よりも前月比でどれだけ増減したかがよく使われる。こちらは2000年以降のデータを月次で抽出、グラフ化。

非農業部門雇用者数前月比増減
非農業部門雇用者数前月比増減

こちらもリセッション部分を色で区別化。産業・経済全体の伸張で雇用キャパシティそのものか増大しているから(データで確認済み)、たとえ同じ割合で雇用者数が減ったとしても絶対人数が増加するという理屈は理解できる。しかし前回のリセッションと比べて時期が長い分、雇用者数の減少も大きくなっているのもグラフからは見て取れる。少なくとも良い状況ではない。


先に「「就業する意図がない者(非雇用対象、Not In Labor Force)」は計算に入れていない」と触れたが、実はデータを見ると「非雇用対象」の数も大きく値を増しているのが分かる。これが「職をあきらめた人が増加している」と単純に見るべきなのか、失業率を少しでも低く見せるための調整のひとつなのかはデータからだけでは分からない。ともあれ、失業率が増加しているのは事実。

昨今の金融危機(金融工学危機)をして、「100年に一度の出来事」という表現をする場合が増えてきた。これが事実だとすれば、失業率も1980年代につけた10%超を見せる可能性はないとはいえない。逆に、失業率が改善にむかう様相を見せれば、他の指数も上昇、しいては経済も底を打った兆しとみることもできる。

今後も毎月発表される最新データを注意深く見守りたいところだ。


■関連記事:
【「リセッション」を再確認してみる】

(最終更新:2013/08/01)

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