ガソリン価格が下がるとスタンドは損する? 得する!? ……アメリカの場合

2008年12月08日 12:00

ガソリンイメージこの1年の間にジェットコースターのように急上昇と急降下を見せた原油価格、そしてそれから精製されるガソリンの価格。生活にもっとも身近な面でそれが把握できたのは、ガソリンスタンドで販売されるガソリン価格に違いない。スタンド側からすれば1年間で「主要商品」の価格がほぼ2倍増、そしてそこから約半減する(=元に戻る)というダイナミックな経験をしているはず。それではその商品たるガソリンが高ければスタンドは儲けが増え、安くなると損をするのだろうか。言い換えればガソリン価格が急落している現在はスタンドは頭を抱えているのだろうか。……アメリカの場合はそうでもないらしい(【USA TODAY】)。

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説明にいわく「ガソリン価格は7月中旬から55%下落してる。しかし卸売価格は68%も落ちている。分かるかな、下落幅が違うのでそれだけスタンドの中間マージンが増加してるんだよ」。実際、アメリカのガソリン小売業者の一つであるThe Pantryは第4四半期決算で2300万ドルという、前年同月比で4倍もの利益を上げている。同様の業者Morgan Keegan社はさらに好調な成績を予測しているほど。

ほとんどの一般人は「販売価格が上がるとその分利益が増えて、下落すると利益も減少するのでは」と考える。しかしアメリカのガソリンスタンドの場合、それは正反対なのだのこと。価格が上がれば需要は激減し、各スタンドでは(仕入れ価格などの)コスト増を売上でまかなうことが難しくなった。さらにガソリン価格か上がると、クレジットカードの使用手数料も上がる(販売価格の2.5%、ガソリン価格が最高値を示したころは1ガロンあたり10セントも必要とした)。諸経費も合わせると赤字同然で、先のThe Pantry社も第2四半期は510万ドルの赤字を出したという。

ガソリン価格が上がっても
クレジットカード使用料など
諸経費も跳ね上がり、
販売量も減るため
利益は落ちていく

ところがガソリン価格が下落するにつれ、クレジットカードの使用手数料も減り(1ガロンあたり4.5セントにまで減少)、他の経費も少なくて済むようになり、中間マージンの割合も増加。10月7日の60セント/ガロンを最高に、10月は平均で45セント/ガロンを記録した。当然ガソリン価格が下がれば顧客当たりの使用量も増えるので、スタンド側の利益もうなぎ上りになる。何しろ「単位あたりの利益が増え」「顧客あたりの使用単位が増え」「(ガソリン価格の低下で)顧客数そのもの増え」るのだから。

もちろんすべてのスタンドがこのような「利益急上昇」の波に乗れているわけではない。Lone Star Petroleum社のあるガソリンスタンドでは、ガソリン価格の急騰が需要そのものを大きく減らしてしまい(=自動車離れを加速させ)、ガソリン価格が下がった今でもお客がなかなか戻ってこないのだという。お客を取り戻すため、価格競争に突入せざるを得ず、必然的にマージンも下がっていく。いわく「(マージンが増えて)利益を楽しめた期間など全然続かなかったよ」とのこと。

日本の場合にはアメリカと事情が異なり、スタンドの独立性がさほど高くないため、一概に「ガソリン高=利益減少」「ガソリン安=利益増加」とは言い切れない。とはいえ、ガソリンが高いほどお客が減り、安いほどお客が増えるのは万国共通。付帯サービスによる利益はお客が多い方が得やすくなるし、何より仕事へのモチベーションも違ってくる。近所のガソリンスタンドの看板に掲げられた「レギュラー」「ハイオク」などの横にある数字が減るにつれ、スタンド内の活気はどのように変化しているだろうか。自動車・ガソリンスタンドを利用している人、そして周囲を通り過ぎるだけの人も、一度気をつけて見てみると良いかもしれない。

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