不景気なイギリスで流行るもの、資産差し押さえとオークション

2008年12月08日 08:00

オークションイメージ金融(工学)危機により多くの国で不景気におちいり、産業の多くが停滞している。しかしこのような不景気だからこそ活性化する産業・市場もいくつか存在する。その一つが先日イギリスの大衆紙【Daily Mail】にて紹介されていた。その産業(市場)とは「オークション市場」である。

スポンサードリンク

「あるものの損失は別の人の利益になる」とのキャプションと共に掲載されていたオークション会場の様子。破たんした会社から引き払われた商品が競りに出されていた(Mail Onlineより、以下同)
「あるものの損失は別の人の利益になる」とのキャプションと共に掲載されていたオークション会場の様子。破たんした会社から引き払われた商品が競りに出されていた(Mail Onlineより、以下同)

このオークション会場では、破たんした会社から引き取った商品や、警察で落し物として預けられたものの引き取り手が現れず所有権が喪失した物品などが競売にかけられている。イギリスでは11月に、第3四半期において前年同月比で+7%もの自己破産者の増加が見られ、個人ベースでも「差し押さえ」が起きていることを示唆している。

元記事では衣服以外に、自転車、カメラ、バイク、パソコン、家具など多種多様の耐久消費財(長時間使用に耐える消費財。目安は1年以上長持ちするか否か)が競りに出され、落札されていく様子が映し出されている。

差し押さえを受けた会社のパソコン。
差し押さえを受けた会社のパソコン。

多くの物品が競売にかけられるということは、それだけ(遺失物は急増・急減する理由は無いから)個人・法人を問わず破たんしたところが増え、差し押さえを受けたケースが増加していることを表している。景気そのものが後退すればするほど、繁盛するという実に皮肉な市場なわけだ。

【フィギュアや模型、プラモデル……官公庁オークションに登場する「マニア」なアイテムたち】などにもあるように、日本でも官公庁が差し押さえた物品を既存オークションのラインに流して売買するシステムを取り入れるところが増えてきている。元々どんな時代にも、役所側が税金滞納者などの資産を差し押さえるケースはあった。しかし民間のオークションシステムを使う事態があちこちで生じていることは、それだけ差し押さえ物品が増えてきたことを意味する。

オークションそのものは非常に便利なシステムに他ならない。しかし活性化する理由が経済そのものの不調によるものだとしたら、素直に喜べないのが悲しいところだ。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ